
人形町のメインストリート、人形町通り。
その人形町通りが交叉する道のひとつが、
ご存知甘酒横丁であります。
甘酒横丁というと、パフェの想い出の「森乃園」とか、
一杯呑れるそばやどんぶりモノの「東嶋屋」とか、
“天然ものたい焼き”で連日行列の「柳屋」、
そして居酒屋「笹新」なんかを思い浮かべる、
人形町通りから明治座へと至る通り。
でも、どふいふ訳か、日頃徘徊するのは、
それとは逆の小網町寄りの通りなのです。
甘酒横丁の信号から喫茶去「快生軒」、西洋料理「来福亭」と過ぎると、
いつもお決まりの「玉ひで」の行列にすれ違う。

通常は、お店側から折り返して、車道寄りにもずらっとひとが並んでいるのだけど、
極稀に「あれ、今日は割りと空いてるな」という日もあるようです。
行列を特別苦にしている訳ではないものの、
此処の行列だけにはいつも「ご苦労さま」と小さく呟いてしまいます(笑)。
その先、Bistro「CHEZ ANDRE」の向かい、西洋御料理「小春軒」の前を往く。
「小春軒」隣のビルの脇に立つ黒御影の石版を何気にみると其処には、
“谷崎潤一郎生誕の地”と刻んであります。
その脇には中央区の教育委員会による解説の標が掲げてある。

「細雪」や「痴人の愛」の谷崎潤一郎は、
此処にあった祖父経営の谷崎活版印刷所で生まれたんだそう。
兜町にある今の阪本小学校(阪本町公園の並び)に入学後、
父の事業の失敗により、近くを転々とする暮らしをしていたらしい。
ふーむ、そうだったのか。
そんな、谷崎潤一郎生誕の地にあるのが、
その名もそのまんま、にんぎょう町「谷崎」。

ふーむと思いながら、おひとりさまは、
馬蹄形のカウンターの一角に収まります。
そのカウンターの中程には、通常厨房の何処かにあるであろうスライサーが、
すっかり磨き上げられて鎮座してる。

お肉屋さん系統のお店であることを示しているようにも見受けます。
それならばということで、常設メニューから「ハンバーグランチ」。
選べるソースをこの日は、おろしポン酢でお願いします。

ころんとした背の高いフォルムのハンバーグは、
オーブンで火を入れた後に焼き上げているのでしょう。
肉々しさと滲む脂の具合は悪くない。
崩した半熟目玉焼きとの相性も勿論です。
夏の日には、「冷しゃぶ定食」。

豚の旨味と脂の甘みが真っ直ぐ味わえる。
味濃いぃめの胡麻ダレじゃなくて、
青しそおろしポン酢か、柚子胡椒のちょい付けにすればもっと佳かったかな。
とある日の週替わりランチは、「黒毛和牛すきやき丼」。

所謂ツユダクとは逆方向のちょっと品のあるおどんぶり。
でも、牛肉の滋味がじわじわっと攻めてくる。
やっぱりオプションの温泉たまごのっけをしておくのだった(笑)!

またまたとある週に階段下の黒板を確かめると其処には、
「豚肉の生姜焼き」。

肉厚のロース肉におろし生姜たっぷりのタレがしっかり絡んで、
ご飯が一気に減っていきます。
そして、シーズン突入の頃には「カキフライ」。

あれ、お肉系のお店だとばかり思っていたけれどと思いつつ、
椅子に座るなり「カキフライ!」と叫んでみたりします(笑)。
半月の網に据えたカキフライが奮発の六丁。

如何にも時季初めを思わせる小振りな牡蠣が、
それでも頑張って滋味を炸裂させてくれました。
また、季節が深まるにつれて変遷する味わいが愉しみですね。
人形町は、彼の谷崎潤一郎生誕の地にしゃぶしゃぶと創作料理の店、
その名もそのまま「谷崎」がある。

主軸であるところの牛肉・豚肉と谷崎潤一郎との関連は、
最早全くきっとないのではなんて、この際言いっこなし。
夜の部ではやはり、
豚のしゃぶしゃぶやすきやき風の牛しゃぶのコースが待ち構えているようです。
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「谷崎」
中央区日本橋人形町1-7-10 ツカコシビル1F [Map] 03-3639-0482
http://www.tanizaki.jp/
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