一階の窓辺の席が空いていたら、そこへ滑り込む。 先ずは気になる「ナポリタン」からいただきましょう。
蛇腹な衝立のむこうから、 さっさっさっと割と軽やかな炒め音が聴こえてきた。 それは、「ナポリタン」の音でしょか。 それとも「ヤキメシ」あたりを炒めて、 フライパンを返しているのかもしれません。
やや時間を要して届いた「ナポリタン」。お皿の縁の”Nisshotei”が一瞬、”Noritake”のようにも見えます(笑)。
見た目やや細麺で、油断したらシャツに飛ぶ系の気配のする。実食してみると、麺を湯掻いた湯の塩が強過ぎるのか、 それがそのまま食べ口を塩辛めにしちゃってる感じ。 炒めももうひと越え煽って、ケチャップの角が取れてくるといいのだけどなぁ。 やっぱりナポリタンは茹で置き太麺を豪快に炒めたものが好みなのだと、 そう思うおひる時でありました。
お品書きの”ハワイアン”という文句が気になって、 「ポークソテーハワイアン」をいただこうと足を運んだら、 いつの間にか”ハワイアン”の文字が目隠しされている。 そうとなればと「ビーフカツレツ」に路線変更してみました。ポテトフライ、隠元や人参のグラッセを覆い隠すようにして、 ステンレスの楕円皿にカツレツが載っている。
薄手に叩いた牛肉と衣が離れてしまうのが残念も、 かかっているデミソースがキリッとしていてイケる口。ふむ、もしかしたらお隣のお父さんが注文んだ「ハヤシライス」は、 なかなかの逸品かもしれません。
そんなこんなで、「ハヤシライス」をいただこうと思ってやってきたのに、 気分は何故だか、「オムライス」(笑)。その中央にでろんと横たえるようにケチャップを戴いた「オムライス」は、 半熟の気配のない、しっかり目に火を通すスタイルのやつ。
パラパラなケチャップライスはやや薄味の上品な仕立て。 戴いたケチャップを引き伸ばしながらいただくのが丁度よい。端正なオムライスに、まるで教科書に忠実な正しき気風を思います。
少しのサラダと熱々カップのコンソメではじまるおひる時。二階席も次第に埋まっていくのが、日常のようです。
蛎殻町の公会堂近くに老舗洋食店「日勝亭(にっしょうてい)」がある。一階のお姐さんに店名「日勝亭」の由来を訊いてみた。 すると、90年くらい親族で経営を続けているけれど、 何故に「日勝亭」なのか、その話はちょっと…、と仰る。 残念ながら、店名の由来は引き継がれていないようです。
そして、「日勝亭」は、店舗の建て替えのため、 この11月末をもって一時閉店するそう。 15年の秋に新装開店の運びとなるようです。
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「日勝亭」 中央区日本橋蛎殻町1-32-2 [Map] 03-3669-4768
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