
西天満の京阪国道沿いに建つは、宇治電ビル。
昭和初期のものだというその建物は、
重厚さと壁のレリーフなど、
趣ある意匠が印象的でした。
地階には、御食事処「一力」。
お盆を手に、棚に用意されたお惣菜や小皿を選んで、
自らお好みの定食に仕立てる例のスタイル。
如何にも大阪の昼飯処の風情があったけど、
結局お皿を幾つも取り過ぎて、
豪勢なおひるになってしまうのでありました(笑)。
そんな宇治電ビルは、
今はもう取り壊されて新しいビルの建設が始まっている。
白い万能鋼板で囲んだ敷地の裏側を通った時、
店の前に立つ黒板の文字を何気なく読んで、思わず振り返る。

だってそこには、「ビーフン東」と書いてあるのだもの!
「ビーフン東」といえば、
言わずと知れた新橋駅前ビル1号館の台湾料理店。
「Az」と切り抜いたステンレスの文字を横目にしてから、
階段を下ります。
新橋の店のアジアンなイメージでいると少々戸惑うことになる。

シュッと洗練されたデザインの、地階にして抜けの良いフロア。
カウンターから見上げる黒板のメニューは、
台湾料理とバル・ビストロ料理とが違和感なく並存しています。

そうは云っても、間違いなくあの「ビーフン東」であるのは、
ランチメニューを眺めればすぐ分かる。
「焼きビーフン小」と「バーツァン(中華ちまき)」のセットをいただきましょう。
オープンキッチンで炒める様子を眺めつ待った「焼きビーフン」。

焼き目もソースや醤油の色もなく、塩焼きな見映えがそれらしい。
そして皇室御用達とも謳われる中華ちまき。

竹の皮を恭しく解き開けば、堂々たる風格の姿で鎮座します。
飴色に艶やかなその表面。

その味を知れば、思わず涎の湧き出す景色であります。
齧った中には、角煮のような賽の目の肉片や煮付けた椎茸など。

肉や野菜やの出汁が濃いめの味付けの中にしっかりと息づいているのが、
「バーツァン」の魅力のひとつでしょう。

別のおひるには、「担々汁ビーフン」とのセットで。
摩り胡麻泳ぐやや辛スープに浮かべても、
米粉由来のビーフンはビーフンのシャキっとした食感のまま。

スープを持ち上げる感じには乏しくとも、
さらっとした軽妙さもまたオツなものでございます。
昼は、皇室御用達の中華ちまきとビーフンの店「ビーフン東」。

夜は、ワインビストロ「Az(アズー)」。
「ビーフン東」は、新橋にのみ存在するお店だとばっかり思っていたけれど、
1967年に西天満に「台湾料理 東」をオープンしたのがそもそもだという。
二代目が新橋に進出したその後、西天満の店は閉めてしまっていたらしい。
二代目のご子息、三代目・東 浩司さんの手によって、20年振りにご当地に復活したのが、
こちら「Az/ビーフン東」なのです。
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「Az/ビーフン東」大阪店
大阪市北区西天満4-4-8 B1F [Map] 06-6940-0617
http://www.az-bifun.com/
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