
茅場町エリアで夙に知られた立ち呑み屋といえば。
そう、オヤジの巣窟「ニューカヤバ」。
亀島橋の袂から八重洲通りを離れ、
亀島川に沿って永代通り方向へと裏通りを往く。
すると、洋館「WALL STREET」の手前に大きな提灯がみえてくる。
それが、「ニューカヤバ」の目印だ。
目印の赤い提灯は見つけたものの、
初めてのヒトはちょっと戸惑うかもしれません。

それは、その提灯が何気ないガレージの前に吊り下げられているから。
ただただ洒落で提灯を飾っているような、そんな気にもなって、
ガレージの奥に縄暖簾を認めるまでは足が前に進まないかもしれません(笑)。
横の壁には、「かみます、犬に触らないで」と貼り紙があるものの、
件の犬の姿は見当たらない。
おずおずと縄暖簾の前まで来ると、キムタクのポスターが迎えてくれる。
なにかの撮影に使われたようです。
暖簾の向こうから既に漏れ伝わっていた喧騒が、
引き戸を開けた途端に自分もその中に。
そうとなればもう、
オヤジたちがにこやかに立ち呑む中にずいずいと進んでしまいましょう。
二人分の小さなスペースを丸いテーブルの一角にみつけて、失礼します。
自然と詰めてくれるご同輩の気配りが有り難い。
小銭を手にカウンターへ向き合って、愛想よしのオネエさんに赤星の瓶の麦酒を。

ついでに卓上の小皿たちに視線を巡らせて、ツマミを物色します。
キャッシュオンデリバリーよろしく、「ニューカヤバ」は都度の精算だ。
おつかれさま〜と乾杯して、
キリッとシマった〆鯖やマカロニサラダや。




鰯の薩摩揚げやら、鴨ロースやら、ドンと冷奴やら。
麦酒を干したらやっぱり、下町っくにホッピーでもいい。

アンクルトリスのジョッキでホッピーってのもオツなもの(笑)。
そして、「ニューカヤバ」と云えばのひとつが、壁沿いに並ぶ販売機たち。

芋焼酎「さつま白波」に麦焼酎、日本酒は「天山戸隠」。
その中でも一際目を惹くのが、「トリス」の販売機。

正円のフォルムには、昭和の匂いが色濃く滲む。
窓からは逆さに挿し込んだ「トリス」の瓶。
きっとずっとそのまま「100円玉1ケ」の表示。
硬貨の投入口の脇には、「強くタタクナ!」のマジック文字。

そうだ、叩いて壊れたらどうするんだ、文化財なんだから(笑)。
コレ、山崎蒸溜所の展示室にあっても可笑しくないもんね。
冬場には、ポットからお湯を注いで、ホットウイスキーと洒落込むのもいい。
そして、「ニューカヤバ」のもうひとつの目玉が、焼き鳥。
まずは、カウンターでオネエさんに「焼き鳥二本、つくね二本」とお願いしよう。
すると、お皿に載せて出て来るのは、生のままの焼き鳥の串。
それを手に、左手奥の人垣の方へ向かいます。
そこにあるのが、焼き鳥の焼き台。

大きなレンジフードが屋根のように覆っていて、
排気ファンがブンブン音を立てて回っています。
ちょいと失礼と焼き台の空いていて、
そして炭の機嫌の良さそうなところへ焼き鳥の串を並べます。


炭に元気がなければ、団扇を少々パタパタと。
頃合いをみて、串を回して、じっくりのんびり待つ間にまたジョッキを傾けます。
焼き台の脇に用意されているタレに浸しては、また焼き台に。



へい、焼鳥、つくね、あがったよー。
自分で焼いた焼き鳥の不思議と愛おしいことったら(笑)。
焼鳥をセルフで焼ける、てのも「ニューカヤバ」の顔として知られたところです。
焼き台の周りが混んでいても多分大丈夫。

焼き台を囲んだお客さんが焼け過ぎないように、きっと気を遣ってくれるはず。
セルフで焼く焼とりと自販機銘酒コーナーの立ち呑み「ニューカヤバ」。

想像するにきっと、焼き台も販売機も、極力セルフサービスにして、
その分安く自由に呑めるようにと考えたところから始まったことなんだろね。
嘗ての証券街の残り香も今何処。
賑やかな店内は沢山の酒呑みが想い思いに愉しんでいて、
でも癖の悪い酔っ払いはなかなかいなそうな。
そんな朗らかな雰囲気も魅力のひとつです。
「ニューカヤバ」
中央区日本橋茅場町2-17-11 [Map] 03-3664-7315
column/03279
日本橋にこのセルフ、いつもニコニコ現金払いなスタイル、良いですね~。こちらのビアホールで食べ物を現金払いで買ってくるのと似てますね。
自分で焼ける焼き物、焼け具合を教えてくれたりしながら、飲みにケーションも発達なのでしょうか?
焼き物台横に佇む、良く見かけるマフラーと洋服を着た方も十二分に楽しんだのでしょうね(笑)。
Re:seppさま
あ、そうですね。そちらのビアホールでその度ビールやらツマミやらを買いに向かうのと同じですね。規模が全然違いますけど(^-^) 。
世のサラリーマンがあっちこっちでご歓談の繰り返し〜。
マフラーの方にも堪能いただけたようです。