新地の和食店の個室をあとにして、並びにある「堂島サンボア」に寄ろうかとなる。
あ、でも、あっちに行こうかと御堂筋方向へと向きを替えた足についてゆく。
ここ此処、と指差した狭い路地。
煉瓦で化粧した壁に掛かるプレートには、
「Bar HERMITAGE」。
木製扉の奥で、小さなバーカウンターが迎えてくれます。
止まり木に腰を下ろして見上げた正面に、
過日麻布十番の「tellus」で愉しんだ「MIDORI」のボトルが目に留りました。
バーのカウンターで、もうほとんど残っていない「MIDORI」のボトルというのを眼の前にした場面を思い出せないので、活躍しているのですねぇとマスターに話し掛ける。
ええ、そうなンですというマスターの視線を何気なく追うと、その先の黒板にオリジナルカクテを紹介する文字がある。
その名を「ダービーキング」。
バーボンとミントの爽やかなカクテル、という謳いと一緒に馬のシルエットがチョークで書かれています。
早速いただいたロンググラスは、「モヒート」な見映え。
添えた文句にあるように、ラムではなくてバーボンがベースになっていて、それがミントの風味によく似合う。
そこへ、「MIDORI」が色を注す。
でも、なんで「ダービーキング」なんでしょう?とマスターに訊ねると、ここで云う「ダービー」は、レシピのバーボンを「ブラントン」としていることから。
例の競走馬の形をしたキャップがすぐに思い浮かんでくる。
そして、カクテルコンペでの冠を合わせもじって「ダービーキング」としたのだそう。
なるほど。
「Bar HERMITAGE」の顔となるカクテルのひとつに「MIDORI」のフレーバーが活かされているからボトルが動いているのだね。
バレンシアオレンジのドライフルーツって美味しいなぁと齧りながら、それでは今度はその「MIDORI」をメインにもう一杯と思案する。
そうね、「MIDORI」のソーダにレモンを添えていただきましょう。
単純な組み合わせのようでいて、甘すぎず、意外と奥行きのある呑み口になるのに思わずニンマリだ。
新地本通りと堂島上通りとを繋いだ路地を分け入る、
バー「HERMITAGE(エルミタージュ)」。
入口ドア脇のサインにも、バックバーのミラーにもある「HERMITAGE」は、そんな隠れ家的立地にも由来しているのだけど、その店名にはもうひとつ仕掛けがあった。
後半の”TAGE”の部分の書体が前半と変えてあるのは、マスターが田外(たげ)さんだから。
連れていってくれた常連も気がつかなかったンだって(笑)。
□関連記事:
Bar「tellus」で MIDORI×MIST香りと風味三段活用の萌黄色(10年05月)
「HERMITAGE」
大阪市北区曾根崎新地1-1-40 ジロービル新館1F
[Map] 06-4797-0636
column/02998