目の前に「BRUICHLADDICH」を見つけて、そのボトルを手に取る。 やや若いバーテンダーが、確か、 その10年とClassic との呑み口の違いが面白い、 というようなことを説明してくれたと思う。アイラでありながらピートが控えめなのが「ブルイックラディ」の特徴で、なんて話を訊いて、 あ、そうか、先日池袋「もるとや」で舐めたのも「ブルイックラディ」だったと、 やっとこさ思い出す(笑)。 穏やかなピートであっても、ククっと甘く骨太なボディが顔を出す。 そんな感じ。
お次はなににしようかな、 とふたたびボトルの林から引き上げた一本が「カリラCAOL ILA」。 ラベルには、「CONNOISSEUR CHOICE」とあるボトラーズの1972。かつてそれなりに含んでいたピートの棘が今は円く角の取れている、そんな感じ。
きっと酩酊の帳が降り始めた表情で(笑)、 もう一杯なんかないかなぁという顔をしていたら、 「これなんかいかがでしょう」と差し出してくれたボトルのラベルには、 「Ichiro’s Malt」と書いてある。へー、かのイチローはそんなオリジナルボトルを出すほどのモルトラヴァーだとは知らなんだ! と思ってしまった酔っ払い。 「イチローはイチローでも、肥土伊知郎、なんです」。 我が意を得たりと、秘かにほくそ笑むバーテンダーに口惜しいけれど、 へ?という反応をしてしまう。 あー、そう云えば、 どこかでカードを描いたラベルのボトルを舐めたことがあったような気もする。 それがどこだったかは、まったく思い出せそうもないけれど(笑)。
この「Ichiro’s Malt」は、 その肥土氏が埼玉・羽生にあった蒸溜所のモルトをベースにブレンドしたものだという。 ラベルの「MWR」は、”ミズナラ・ウッド・リザーブ”を表すもので、 ミズナラの樽を熟成に使ったことを示してる。 そして氏が興した「ベンチャー・ウイスキー」は、秩父に蒸溜所を設け、 08年になってウイスキーの製造許可が降り、稼動を開始したらしい。 秩父でウイスキーが作られているなんて知らなかったなぁー。
「Tony’s Bar」のコースターが創業を示す、1952。往時、バーテンダー松下安東仁(トニー)さんの店として、名を馳せていたという。 主人を亡くしたカウンターを今は、 かなりお歳を召された姉ベッティさんと若いバーテンダーとで守っている。 叶わないことなれどやっぱり、 トニーさんのいる「Tony’s Bar」の空気にも触れたかったと思います。
口 関連記事: SHOT BAR「もるとや」で カウンター眺めBRUICHLADDICH(09年09月)
「Tony’s Bar」 港区新橋1-4-3 芝ビルB1F [Map] 03-3571-0990
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