
矢場町交差点から向かい側に臨むは、
味噌かつで有名な「矢場とん」の本店。
真新しい設えな印象の「矢場とん」の店の前を素通りして、
ここら辺りかなぁとその角を曲がる。
と、ひと気のない裏道に「居酒屋」の灯りが見つかった。
今宵は、「松樂」さんでちょいと一杯、です。
しっとりと積年の味を漂わせる店内は、右手のカウンターで大将が、いらっしゃい。
奥の小上がりから顔を出した女将さんも、いっらしゃい。
カウンターに腰掛け振り返れば、壁一面の色紙。
どうやら、芸能人たちにも御用達なお店のよう。
でも、ちゃらちゃらした気取りは窺えない、純朴そうな佇まいです。



寒い宵だからと、いきなり燗酒をいただいて眺めるは、目の前にずらっと並んだ大皿たち。
どれにしようかな(笑)。
まずはやっぱり、「どて煮玉子入」。

妙に赤味噌赤味噌してなくて、加減よく煮込んだスジと大根の甘さと酸味を味わえる。
「う巻」はもう、見たまんま、鰻を玉子焼きで巻きました(笑)。

出汁巻きにする手もあるのかもしれないけど、こちらでは甘過ぎない玉子のほんのり焼き目ととろっとした鰻との取り合わせ。

取り皿諸々が納まった棚にも品書きのひらひら揺れる。
「山芋はんぺん」って、あのおでんに入ってる白いはんぺんに似たヤツかなと思っていたら、然にあらず。

さつま揚げ、じゃなくて揚げボールに近い風貌で、齧れば揚げ口の香ばしさと山芋のふわっと優しいところが愉しめる肴になっている。
厨房の貼り紙にもホワイトボード

にも、「生がき」「焼きがき」「かきフライ」と三連呼してあるのでそれならばと(笑)、「かきフライ」。


時季にしてはやや小振りかなぁの牡蠣フライは、まぁ、可もなく不可もなくといったところか。
冷めた燗酒とカキフライがなんだか不思議なマリアージュ(笑)。
こんなほろ酔いもまたよろしからずや。
矢場の百貨店も近くなのに、知るひとぞ知る立地にも映る裏道の居酒屋、「松樂」。

ほろ酔いでお腹も満ちているのに、眼前の大皿や頭上の品札や壁の貼り紙に気になるメニュー目白押しで、まだ辺りをキョロキョロしている自分が可笑しい(笑)。
「松樂」 名古屋市中区大須3-8-32
[Map] 052-241-8520
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