そば・酒処「仙波」で 名物くるみそば切なきはオバハンの無愛想

senba.jpgそれは、お詣りした神田明神からの帰り道。 秋葉原側へと抜けたところで、昼にしようかということに。 辺りをキョロキョロ見回して目に留まったのが「そば処」の文字。 彼処に寄り道してやれと、通りを渡って気がつくのは、 路上の看板に記された「名物くるみそば」の文字。 「くるみそば」って何だろね。
不愛想ここにあり、なオバチャンのご指示で一同は二階へと参ります。 そんなにつっけんどんにしなくてもいいのになぁ(笑)。 天ぷらや揚げ出しなんかをツマミにお銚子傾けてるテーブルもある二階席。 真っ昼間の燗酒の匂いを横に、謎解きせねばと「くるみそば」をお願いします。 やや太めで、二八ぐらいつなぎかなぁという印象の蕎麦の皿。senba01.jpg粒子の浮かんでみえるのは、蕎麦の外殻か胡桃の粒か。 ベージュ色したつけ汁に浸して啜ると、香ばしいコクが鼻を抜けていく。 どこかで食べたことのあるよな風味も、なかなかどうして悪くない。 senba02.jpgsenba03.jpg ただそれが、炒った白胡麻を擂ったようなクリーミーなつけ汁に由来するものなのか、蕎麦そのものに織り込まれているものなのか、啜るほどに判然としてなくなってくる。 蕎麦自体からも不思議なコクのようなものが思えるのだけど、どうなのだろう。 Webサイトをみると、その一節に「高い栄養素を持つ「くるみ」を、その触感を損なうことなくそばに入れた「くるみそば」は、」とある。 やっぱり、蕎麦そのものに粉にした胡桃を配合して打っているのだ。 ペーストを溶かし込んだようにした、つけ汁の風味が強すぎて、折角の「くるみそば」の味わいを損なっているような気もするし、このつけ汁あっての「くるみそば」であるような気もする。

所用序でに、お品書きの隅で目にしていた品をいただくべく再び寄ってみる。 「くるみそば」が「釜揚くるみ」となったらどうなのだろうということだったのだけど、それはあんまりよろしくない再訪でありました。 今日も無愛想なオバハンが、値踏みするような目線で一瞥しては、レジ脇の寒々しい待合いのようなテーブルに「そっち!」とばかりに指先を向ける。 senba04.jpgテーブルの隅にポツネンとして「釜揚げくるみ」をお願いすると件のオバハンは、無言で固形燃料のクッカーを据え、湯の入った鍋を載せ、そばの皿を半端な場所に置いて去る。 そばをしゃぶしゃぶして温めて啜れってことなのだろうなぁと思うものの、オバハンはひと言の説明も面倒のよう。 そばの皿を手元に置き直しながら、呟きそうになる。 「ボク、オバチャンになにか酷いこと、した?」。 久々に憤懣やるかたない気持ちになってしまい、もう味なんて判らない。 senba05.jpg 今後いつか「くるみそば」という単語に接しても、あの切ない気持ちを思い出すばかりなンだな、きっと。 「仙波」秋葉原店 千代田区神田松永町2-1 [Map] 03-3251-8645  http://www.sanyo-senba.com/
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