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ビストロ「Cave des Vignes」で トマトのプリンとカシュー豚
汁モノ啜る予定を急遽変更して東銀座。
先日「Vivienne」にもお邪魔していた木挽町通りを窺う歌舞伎座前。
この界隈でどこへと考えて真っ先に浮かんだのが、
ランチには訪れたことがあっても、夜を知らない「カーヴ・デ・ヴィーニュ」。
久々の階段をくだります。やや手元の暗いカウンターに陣取って、
口開けにと冷えた「Edmond Cheurlin Brut Carte Noire」。籠から選んだのは、マーガレットと呼ぶパン。
しっとりした香り高いパンは、小割りする前にマーガレットのカタチをしているのかな。
取り分けていただく前提で、アラカルト。
グラスでいただくリースリングの「Saint-Hippolyte」。
まずは、この夜のお通し的前菜として、スープカップが運ばれてきた。
表面にゼリー状の窺えるカップを取り分けてくれた小皿に「トマトのプリン」です、と云う。
へ~、と思いながらスプーンを動かすと、「うぬぬぬぬ」。
トマトの澄んだ甘みと心地よい酸味が真っ直ぐ延髄へ到達するような(笑)、美味しさ。
こりは、うまひ。
カキタマ風にした玉子のコクとも粋なバランスなのであります。
もう一杯白をと「Macon Villages les Tilles」。
続く一品は、「国産牛肉のタルタルステーキとアヴォガド」。刻み叩いた粒の加減よろしく、赤身肉の魅力がじーんと舌の上を沁み渡っていく。
下に敷かれているのは、俗に馬のタテガミといわれるコリッとした脂身だ。
籠から今度は、仏産の粉100%モノだというバゲット・スペシャリテ。
お魚系から、「穴子のペルシャードとレタスを詰めたヤリ烏賊のグリエ」。ペルシャードというのは、パセリなんかのハーブやニンニクを混ぜ込んだパン粉のこと。
ヤリイカに穴子をつめちゃうって発想自体に既に感服だけれど、脂ののった穴子を香りとともにふっくらと仕立て、レタスで食感を添えてるのにさらに感心。
断面をじっと見詰めたりなんかして(笑)。
恭しく歯の先を入れれば、ヤリイカも柔らかく、噛み応え全体のバランスもよろし。
ガメイの「VDT Nacarat」をいただくと、グラスに注がれたのはロゼのようなピンク。
それは初体験な味わい。葡萄ジュースのような軽いエキスな感じから淡い色のクセして熟成したかのような感じから酸味香気が不思議な交叉を果たしている。ほ~、この個性は面白い。
そこへ本日のお肉料理から「カシュー豚のロースト」。
そうそう、ドングリなんかで育つといわれるイベリコ豚に対して、カシューナッツを主体とした餌で育った豚なのだという。
皮目近くの脂の甘さがあるところも、こんがり焼かれた身肉もじっくり味わうに似合う滋味があり、香りも深く。なはは、これまた、うまひ。
まだまだ気になるメニューがあるのに、食べるに及ばない胃袋が恨めしく思わせる「カーヴ・デ・ヴィーニュ」。葡萄の木の洞穴は、ワインをじっくり愉しませてくれるのも勿論、お手のもの。
やっぱり、夜もよかったな(笑)。
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「Cave des Vignes」 中央区銀座4-13-15 成和銀座ビルB1F 03-3549-6181