
ほろ酔いのまま京都市役所界隈からとことこと寺町通りを下って、「京都サンボア」の前を素通り。
高瀬川を横切って、先斗町へと巡ってみました。
ひと通りも多く賑やかな先斗町を漫ろ歩くうち、店頭の黒板に「JAZZ BAR」という文字を目に留めました。
JAZZ BAR「HELLO DOLLY」。
ショーケースには黄ばんだレコードジャケットが飾られていて、ファサード全体を包む古色がいい味わい。
ちょっと覗いてみましょうか。
暗くした店内も積年の澱が心地よく感じられる空気感。

狭い間口の左手にバックバーが迎えます。
腰を据えたカウンターからさらに奥の暗がりの様子は窺い知れないけれど、主に金土曜日に催されるというライブはきっと、その辺りで演られるのだろうね。
黒板にあった、マティーニをいただく。
マティーニといっても、「デコポンのマティーニ」。

デコポンはポンカンを交配した柑橘だ。
ジンベースではあるけど、フルーツを使った時点でマティーニとは呼ばない方がいいのでないの?となんて思いながらグラスを舐めると、すっきりした柑橘の甘さが妙に呑み易くって危険な感じ。
アタシヲヨワセテドウシヨウトイウノ。
なかなかに客筋も濃いぃ。
カウンター右隅のオヤジは、「カクテルに糖度計を使うバーが恵比寿にあるンだよ、知ってる?」と若きバーテンダーに話しかけて、ただ店の名前を忘れてしまい、わざわざ知人に電話して確認しては「ODIN!」と誇らしげに語っている。
左手の文化人系如何にもなオッチャン二人連れは、銀座の「ルパン」や「Pen」、もう閉めてしまった「クール」の話なんかをしている。
先斗町のバーのカウンターで両脇から東京のバーの話を小耳にするとは思わなかったな(笑)。
もう一杯と、同じく黒板から「土佐文旦のソルティドッグ」。


土佐文旦とは、俗に黄色系と云われるザボンあたりと同系統の高知特産柑橘。
タンカレーを使う古いスタイルのソルティドッグは、これまた爽やかな甘さとほの苦さで優しい呑み口。
アタシヲヨワセテドウシヨウトイウノ。
創業来33年だという「HELLO DOLLY」。
“ハロー・ドーリィ”はバーブラ・ストライザンドが主演の映画タイトル「HELLO,DOLLY!」からきているようで、主題歌はミリオンセラー。サッチモがしわがれ声を利かせていたらしい。
でも、ジャズを聴き込んでから来なくっちゃ、なんて力みは要りません。

オーセンティックなバーともまた違う雰囲気の老舗バーで、
少し不思議なカクテル、いかがでしょ。
口関連記事:
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「HELLO DOLLY」
京都市中京区先斗町四条上ル松本町161 [Map] 075-241-1728
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