新橋の路地裏に潜り込んでみたら、
“喰切料理”という、
見慣れない聞きなれないフレーズを抱いたお店に出くわしました。
落ち着いた表情をみせる暖簾ですが、
敷居の高いお店なのでしょうか。
ひっそりとした様子を想像しながら店内へと進むと、
路地の静けさからは一転して、手前のカウンターもその奥もほぼ満席でちょっとした熱気を感じる。その熱気は、厨房から発される気風のいい声によるところも多分にありそうだ。
偶々空いていたカウンターの隅に席を得て、お願いしたのは「魚唐揚げ御膳」。
少々到着まで時間を要したところで、「大変お待たせしまして、申し訳ありません!」とお膳が届きました。重ねて「お待たせして」と声を張ってくれて、反って恐縮です。
野菜あんのあんかけに包まれているのは、鰈の唐揚げ。
さくさくぱりぱりとした香ばしさにと旨味を含んだ野菜あんの取り合わせが、うん、佳い仕事。
じっくりと丁寧に揚げてくれているのだろうね。ご飯の供にも酒肴にも、どちらにもイケそうだ。
ご飯に載るのは、
自家製だという「じゃこ山椒」。
そして、鰈の半身を平らげて、そこに残った骨をじっと見る。しっかり火を通してありそうで、しかも旨そうに見える。
えいっと齧ると、ぱきぱきぱきっと軽妙に噛めて、クリスピーな美味しさが待っていました。
なはは、なんか嬉しいぞ。
「一楽」その他のお昼メニューは、銀鱈か鮭かの「焼魚御膳」、二日酔いの時にもよさそうな(笑)「玉子雑炊」「もずく雑炊」、そして要予約の「一楽御膳」のラインナップ。
5月~10月限定の「穴子めし」も気がかりだ。
相変わらず飛び交う掛け声を喧しくなく思えるのは、そこに心意気に似たいろいろな気遣いが含まれているからかもしれない。
食材の旬にきちんと向き合って、時季折々の素材をよりその魅力が引き出せるような仕立てで供するという「一楽」。
”喰切”というのは、めぐる旬を都度都度美味しく平らげていっちゃいましょう、みたいな、そんな意味合いなのかもしれません。
夜にも寄ってみたいと思わせる、そんな気概を感じました。
「一楽」 港区新橋4-6-4 03-3433-4848
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