神田駅近くでちょいと呑んでから、バーに行こうとなる。
そう云いながら何故だか界隈を彷徨っているのは、
道路と道路、そして線路が斜めに交叉している内神田エリアの罠にすっかり嵌っているから。
随分と遠回りをして辿り着いたのは、多町大通りと呼ばれる筋にあるとあるビル。
“Traditional”と冠した店の名を見上げながら、階下へと潜みます。
迷うような場所じゃぁなかったね(笑)。

煌びやかに光源を背にしたバックバーに視線を奪われながら、カウンターの左隅へ。
改めて眺める棚には、「Ardbeg」に「Ardbeg」に「Laphroaig」に「Ardbeg」。
そう、ここ「DEUCE」は、「Ardbeg」、そしてアイラをメイン

とするシングルモルトに特化したバーなのです。
いや~、愉しそうー!
おススメの一杯目は「MILROY’S OF SOHO」。

ロンドンのウイスキー専門店MILROYのショップセレクトだという。
一杯目に相応しいとも云える、すっきりとしてどこかに甘さを含むような呑み口だ。

二杯目にはやっぱり「Ardbeg」。
店の名を刻んだグラスに注いでもらったのは、「Ardbeg very young」。

例の、操業再開後の6年熟成ものです。小さな嵐のようなヨード香にやっぱり、にんまり。
店主の菱木さんは、決して薀蓄や知識を押し付けるようなことはないけれど、
訊けばゆっくりと丁寧に応えてくれる。
言葉の行間にシングルモルトに対する愛着が滲んで、頼もしくも好感なんだ。
もう一杯だけ、とお願いしたのが、「SPIRIT OF SCOTLAND 1974」

。
ボトラーズ、ゴードン&マクファイル社になるアードベッグの、つまりは30年ものってことだね。

シェリーの風味が円みに思える、そんな一杯です。

ラベルの隅に“500”“1494-1994”とあるのは、スコッチウイスキー生誕500年を示しているのだという。勿論、遡れば深い歴史があるとは思っていたけれど、う~ん、スコッチって500年以上も前に生まれたのね。その頃の日本って、室町時代じゃん(笑)。
店名の「DEUCE」は、73年のアメリカ映画「アメリカン・グラフィティー」に登場したオールドカーの中の一台、黄色いフォードのクーペの通称から由来しているンだそう。
あ、それで入口のドアが黄色い

のかな。
「DEUCE」 千代田区神田多町2-11岡崎第19ビルB1 03-3251-0061
http://www.bardeuce.com/
column/02459