column/01719
そば「上野藪蕎麦」
年の瀬のアメ横の賑わいが伝わる上野界隈は、普段に増して、やはりどこか落ち着かない雰囲気です。昼下がりの「上野藪蕎麦」もなかなかの盛況で、1階に唯一残っていたフロア中央の浮島のような席に案内されました。「牡蠣南ばん」に食指を動かされそうになるも、初志貫徹とばかりに「鴨せいろう」を所望する。へー、蕎麦から香る甘さが印象的だ。蕎麦そのものの甘さだとしたら唸るところだけれど、どうやら玉子でつないでいるらしく、それがうまく利いているのかもしれないね。脂を感じさせず、どちらかというとあっさりとした鴨汁には、多少臭みも残るほどにレアに温められた合鴨肉が浮かびます。上品な仕立てだ。どうも脂たっぷりのつけ汁をいつも求めてしまうので、一抹の物足りなさが残ってしまう。「並木藪」でのときめきと並べて比較はできないけれど、鴨のせいろってこのあたりが王道なのかなぁ。
「上野藪蕎麦」 台東区上野6-9-16 03-3831-4728