column/01631
小料理「千代乃」
以前お好み焼き屋さんだった半地下のお店の前に、スミ文字で店名を記しただけの行燈看板がさり気無く灯されていました。「千代乃」。どこかで聞き覚えがある名だ。覗き込んでみれば然り、以前八重洲通りと市場通りの角のビル裏手にあって、突如としてなくなってしまっていた「千代乃」が移転営業していたのでした。訊けば、この場所での開店から既に2年以上経過しているそう。おまかせ、で届けられたのは、関あじのお作り、カマスの焼き物、豚と里芋の煮付け、野菜のかき揚げ、そして〆に稲庭うどん、など。何気なく食べてしまったけれど、なかなかに旨い鯵。旨味が鮮やかに濃縮されているような感じだ。里芋も、ほ~っ、と口走ってしまうような癒しの美味しさ。残念なのは、素っ気無い内装に明る過ぎる照明、テーブルのみ4卓というレイアウト。カウンターとテーブル半々くらいの構成のお店にした方がマッチしそうだけど、そうお金もかけられない事情もあったんだろうね。大将は病気療養中で、今は娘さんが切り盛りしています。
「千代乃」 中央区八丁堀1-8-1 03-3553-7070