神楽坂坂上よりもさらに牛込寄りの早稲田通り沿い。
カラオケにのった歌声が漏れこぼれる雑居ビルの地階に「泥味亭」はありました。
出入りする人影もないので席に余裕はありそうだと入口から店内を覗くと、おお、ほぼ満席だ。
入ってすぐのカウンター中央の2席に滑り込みます。名前を入れておいてよかった。
生ビールを注文みつつ、ふとカウンターのコーナーに眼を移すとそこには、もたいまさこサンの笑顔がありました。以前からの常連のようです。
正面の黒板からまずは、時季だねぇと「活はもの湯引き」。酸味を抑えた梅肉のソースがよく合う。
「屋久島産あおだい」は、華のように鮮やかな桃色を魅せる。
芋に切り替えてから、独特の軽妙な食感が夏の涼味を誘う「水なすのさしみ風」、そして軽い苦味が食欲を誘う「ゴーヤ味噌やっこ」。穴子、きす、はぜの「江戸前天ぷら」。
やっぱり穴子は天麩羅でいただくのが一番だと思わせます。
「ポテトレバー」ってなんだろうとお願いすると、白っぽいドーム状の塊りに葛か片栗の餡がかかっている。
ジャガイモの裏漉しが外殻になっていて、中にはレバーペーストが潜んでいるんだ。面白いね。
そして最後は、「稲庭うどん」で〆る。
一見朴訥なように見えて笑顔の優しい店主に訊くと、店を開いて既に26年だと云う。枯れることなく、魅力的な品書きを黒板に綴っているのですね。近くに欲しい、いいお店です。
「
泥味亭」 新宿区矢来町118-6 石本ビルB1F 03-3267-5844
column/01569