雷門を背にして通りの右手を進むと、
浅草情緒の一辺を担う「やぶそば」の佇まいが見えてきます。
「藪御三家」の一翼で大正2年(1913年)の創業だという。
老舗らしさのある、いい情景です。
暖簾の先、右側のテーブル席はほぼ満席ゆえ、左側の小上がりに。
奥ではご隠居さんが、いい笑顔でお銚子を傾けています。
羨ましいなぁ。
下町の気風が滲むおばちゃんにお願いしたのは、この時期限定の「鴨なんそば」。
黒褐色の丼に並々と注がれた蕎麦がやってきました。
つゆは決して甘すぎない。
10cm以上ある長葱の下から蕎麦を引き上げて啜る。
粗めに挽いた肉で作ったつくねを齧ってまた啜る。
そして圧巻は、合鴨肉。
肉厚のそれを噛むと、レアに炊かれたその噛み口から血の香りにも感じられる野趣が癖なく旨味とともに襲ってくる。
そば屋で、こうも鮮烈にジビエを感じれるなんて感動的な出来事だよね。
老舗らしい洒脱が粋に感じれらる浅草「並木藪蕎麦」。
御隠居さんの真似をして、お銚子を傾けにまたお邪魔したいな。
「並木藪蕎麦」
台東区雷門2-11-9
[Map] 03-3717-9699
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