東急沿線の主要乗換え駅のひとつではあるものの、どうもなかなかメジャーになれないのはローカル線の宿命であり且つ良いところ。
激混みラッシュの田園都市線沿線から通勤客を逃す目的で急行を走らせるために2島に大改造して新しくなった大井町線ホームに対して、庶流の池上線のホームは簡易柵が設置されたくらいでほぼ以前のままです。
旗の台駅の東口を踏切の脇に出て中原街道方面に向かう旗の台東口商店会は、昭和大学病院への通り道としてご存知の方もおられるでしょう。
そんな東口商店会通りをすぐに左に折れると、
名店「鳥樹」の東口店のある脇道になる。
「じれっ亭」なんて名の古びたレストランも並んでいます。
基本的にはほのぼの静かな脇道なのだけど、
時折行列をつくる店がある。
板張りの壁に箱文字が示すは、麺家「ぶらいとん」。
ちょっと不思議な名前の脇には、
「無頼豚」との落款も捺されています。
暖簾の横から硝子越しに覗く部屋には、
製麺機がこれ見よがしに置いてあって目を惹いている。切刃なんかも無造作に置いてあり、
詳しい方にはその番手なんかも判るかもしれません。
10席のカウンターに腰を落ち着けて見上げる厨房は、
レンジフードのフィルター部も綺麗に磨き上げられていて気持ちいい。大井町の大きな看板で有名な洋食屋の大将に、
ぜひ見習って欲しいなぁなんて思います(笑)。
カウンター背面の壁には横にずいっと細長い額が掛けてある。
そのお題は「都会に吹く風 ぶらいとん」。ブライトンはイギリスにある町で、
その町の風を東京に運んできた若者が「無頼豚」という店を開いた、
という行から始まる書の最後には、沖縄大学学長の署名がある。
ここの大将は沖大の出身なのかもしれないね。
券売機のボタンをポチしたご注文は、
「つけ麺」に「〇得トッピング」。手際よく湯掻き、盛り付けられ、
スポットライトを浴びるどんぶりに一種の造形美を思います(笑)。
店先で製麺機がアピールしていたように、
「ぶらいとん」の特徴のひとつが自家製麺。量感しっかりありつつもゴツゴツしない嫋やかさ、
ってな感じの麺には、自家製ならではの拘りが感じられます。
別の日には「〇得トッピング」と「らーめん」のチケットをゲット。
「ぶらいとん」では、中盛り大盛りまでが無料で、特盛りが100円増し。250gの中盛りでお願いしました。
「つけ麺」のつけ汁もそうなのだけど、
脂っこそうに見えつつ口にすると意外とそうでもないなと思わせて、
唇がにゅるっと滑り、いやいややっぱり脂が強いなぁと思い至る。豚骨ボディが旨いうまいといい調子でスルスル啜ってご馳走様。
そうした暫く後に、お腹が脂に敗北を喫したことを実感する、
なんてこともございました(笑)。
自家製麺は、
そんな肌理細やかにしてガッツリしたスープにも負けない柔軟な剛性。粉の風味も漂います。
あ、そうそう、刻み玉葱のトッピングがフリーなので、
お好みに応じて所望しましょう。
またまた別の日には意を決して「あぶらめん」。よく混ぜるのがまずは大事と箸と蓮華を駆使して、
どんぶりの底の方から天地をぐるぐると回します。
タレや油なぞがめっちょり絡んだ麺が呼ぶ。デフォルトのまま食べ進み、
最終コーナーでラー油と酢を少々。
いまだに油そばというと第一印象が強過ぎた所為で、
武蔵境「珍々亭」が真っ先に思い浮かぶのだけど、
これはこれで悪くない。
玉子Wなんてのができるともっと好みのノリになったかもしれません。
まぁ、ジャンクな食べ物であることに変わりはないけどね(笑)。
旗の台の裏道に自家製麺の麺処、その名も「ぶらいとん」がある。「麺彩房」の店長が独立して開業したお店であるらしい。
やっぱり「二郎」は卒業したままが然るべし。
避けて通っている家系はやっぱりそのまま避けていくべしと、
改めて教えてくれたお店でもあります(笑)。
「ぶらいとん」
品川区旗の台2-9-21 [Map] 03-3783-1121