大正期に建築されたというそのお宅は、まだまだ昔ながらの日本家屋が民家の定番であったであろう時期の建物にしてはやたらとお洒落で表情があり、当時にしてしっかりとデザインされた外観や平面レイアウト、洋風の書斎があることなどなどにびっくりした憶えがある。
そしてその建造物はなんと、登録有形文化財に指定されていると知り、猶更驚いたのです。
その邸宅「登録有形文化財 萩原家住宅」を設計したのが、
アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの愛弟子である遠藤新氏。
巨匠のひとりと云われるフランク・ロイド・ライトという建築家が、
例えばあの旧帝国ホテルの設計を行った方と知ると、
それなりに身近に感じられるかもしれません。
WEBサイトによると、萩原家住宅の落成は、1924年(大正13年)。
そうすると、’24年は築100年の節目ということになりますね。
そして、そのフランク・ロイド・ライトと遠藤新との、
共同でおこなった設計により建てられたのが、
池袋にある今の自由学園明日館(みょうにちかん)だ。
自由学園明日館も国の重要文化財。
大谷石を多用した建物を連想させるように、
大谷石を彫刻した「明日館の梟」が迎えてくれます。
丁寧に手入れされた芝生の庭を横目に大谷石の敷石を進む。
この日は、春夏秋冬の年にたった4度の日時限定開催という、
貴重なる「明日館レストラン」その日なのでした。
明日館をもっとも印象付けている建物中央のホール。
六角に水平線が横切る背板が目を惹く六角椅子が整然と並ぶ。
大谷石で構成された暖炉は、重要文化財となってなお、
現役で使用される機会もあるという。
展示室で、見覚えのあるジャケット写真を見付けて、
えええ!?と驚いた。
サイモン&ガーファンクルのアルバム「明日に架ける橋」。
ほとんど洋楽を聴かない自分でも、何故だかS&Gはよく聴いた。
でも、このアルバムを聴いている時には、
フランク・ロイド・ライトが誰か、なんて考えもしなかった。
建築学専攻のアーティがポールに書いてくれと頼み、
そうして出来上がった曲のようだけれど、
いやー、知らなかったなぁ(笑)。
そしていよいよ、ちょうど暖炉の背面、
建物の中央に位置する食堂へ。
食堂内部の造作にも、随所にライトらしい意匠が見付かって、
自由学園の子供達は、こんな気の利いて洒落た食堂で、
毎日食事をとっていたのかと羨ましくなったりする。
グラスの白をいただいて、
「コルドンブルー」の総料理長、江口シェフによる料理を待つ。
サーモンのハーブマリネ、ゴルゴンゾーラと野菜のキッシュ、
キャロットポタージュなどなどが載るプレートがやってきた。
MENU Bのメインは、パストラミカナールと彩り野菜のドリア。
改めて食堂の内装や窓辺の表情を眺めつつ、
紅茶とキャラメルと洋ナシのムースをゆっくりと。
こんなに凝ったガラス扉をつくった当時の大工も苦労したろうなぁ、
そんなことを思いながらファサードのディテールを改めて眺める。
庭には、大きく枝を広げた桜の木が4本ある。
桜見学会・夜桜見学会に、また出掛けたいな。
「自由学園明日館」
東京都豊島区西池袋2-31-3 [Map] 03-3971-7535
https://jiyu.jp/