市街の北東に位置するザルツブルクの中央駅は、すっかり改装が済んで、ゆったりしたコンコースが東側へ抜けるようになりました。
そんなSalzburg Hbfから各駅停車で4つ目の駅が、いつぞやのSalzburg Aigen駅。
でも今日は別のルートでAigenへ向かう。
乗り込んだバスは、カプツィナーベルクの縁をなぞる様に走り、ザルツァッハに並行して南下します。
懐かしい住宅地の風景を辿って往くと、
広い空がよりすーっと高く開けて、
その下に緑の絨毯が広がる。その真ん中を貫く並木道に気持ちいい風が抜けていきます。
いつぞやの教会のある景色が近づいてきました。Heiliger Johannes der Täuferという教会の塔の緑青を
強い陽射しが照らしています。
その教会の向こうに回り込むようにした場所にあるのが、
GASTHOF「SCHLOSS AIGEN」。それは、アイゲンの城というの名のレストラン。
GASTHOFというのは、どう訳せばよいのかな。
オーベルジュとはやや趣が異なるように思います。
いつぞやと同じように中庭のテーブルを希望して、
緑の葉のベールの下に席を得る。晴天の陽射しがより鮮やかに木々を照らしています。
フルートグラスの一杯をいただいて、
迎えたお皿が「Beef Tartar “Schloss Aigen”」。丁寧に叩いたと思しきは、オーストリア牛のフィレ肉。
脂の甘みの代わりに、身肉そのものの旨味が濁りなく堪能できる。
嗚呼、美味しい!
マスタードムースがいい合いの手。
大振りな鶉の半熟玉子が添えられていました。
お皿の底に玉子の黄身なぞの具が収まっていると覗き込んでいたら、
そこへ一気に注がれた「Asparagus Soup」。時季のシュパーゲルのフレッシュで魅力的な風味がそのまま、
クリーミーかつサラサラとしたテクスチャでいただける。
実に実に鮮やかな美味なので御座います。
“SCHLOSS AIGEN”のエンブレムを刻んだ、
穏かに美しき翠のエチケットのボトルは「Aigensinn.」。グラスの文字も陽射しにくっきりとした影を映していました。
メインに選んだ魚料理は「Medaillon from Pikeperch」。パイクパーチというのは、
ヨーロッパに広く生息する淡水魚であるらしい。
上品でいて味わいの濃い鱸のような身質に、
ポテトとともに揚げ焼いた皮目との取り合わせがいい。
はっとするようなグリーンアスパラのソースがとてもよく似合います。
アイゲンの城という名のレストラン「SCHLOSS AIGEN」。城の北にある別館がその在り処。
入口の扉を背にして、前回と同じこと乍らと思うのは、
ダイニングも悪くなさそうだけど、
気候と空席が許すなら、
次回もこの中庭で過ごしたい、ってこと。
「SCHLOSS AIGEN」
Schwarzenbergpromenade 37 A-5026 Salzburg [Map] 0662 / 62 12 84
http://www.schloss-aigen.at/