別に宣言を確かめるまでもなく、桜の枝々が「いまヨ!」とばかりに華開いているのは、都内の其処此処で目に留めることが出来る日がやってきた。
相応に年季の入ってきた呑兵衛仲間と集う葛西臨海公園でのお花見宴会も恒例の最たるものなのだけど、天気のいい日を見計らって新川の隅田川土手にふらふらっと足を向けるのもまた、恒例になっています。
穏やかな陽射しの下、
土手の斜面やベンチに腰掛けてお弁当を広げるひと達がいる。並木の桜の花弁の向こうの水面を、
水上バスが滑るように下っていきます。
土手に面した住友ツインビル近くの裏道に、
ひっそりとした神社があって、
その境内と思しきところにも立派な桜の木が、
桜色の華やぎを放ってた。お参りしてから気がついたのだけど(笑)、
その神社の名は、於岩稲荷田宮神社。
こんなところにも、
あの「四谷怪談」のお岩さんを祀る神社があるなんて、
知らなかったなぁ。
そんなことを思いつつ、
その先を眺めてみつけた空席待ちのひと影。
看板が、Trattoria「Locanda」とその名を告げていました。
一席だけ空いていた窓辺のカウンター席へ。
お願いした本日のランチパスタは、
「桜海老と春キャベツのペペロンチーノ」。土手で眺めた光景にも通じてしまいそうな、
如何にも春めいたタイトル通りの朗らかなお皿に、
なんだか妙に和んでしまいます(笑)。
ただ、意外(といっては失礼か)だったのは、
中太の生パスタの食感や風味が魅力的だったこと。ソースをたんまりと纏って汁っぽくなく、
ありきたりの言い回しだけれど、
このもっちりしてしつこくない生パスタに、
しっかりとファンがついているのがよく判ります。
裏を返すように訪ねて今度は、
厨房を眺める方のカウンター席へ。レジ脇の状差しの一枚を手にとると、
そこには一ヶ月間のランチメニューが一堂に紹介されている。
成る程、月間メニューと基本メニューに加えて、
ディリーな組み合わせ5種類を曜日をずらして回すことで、
安定したバリエーション対応をしつつ、
季節に応じた変化をつけていこうとしているのですね。
ご註文は「粗挽きミートソース」。ラグーソース、なんて云わないところがなんかいい(笑)。
そしてここでも、もっちりとして味わいのある麺が威力を発揮。
やっぱりの混雑の理由は、
近くに巨大オフィスビルがあるからだけではないみたい。
ふたたび於岩稲荷田宮神社に寄り道したら、
たった数日で随分と桜が散って絨毯のようになっていた。この散り際の儚さもまた桜の花の魅力なのであります。
新川は隅田川の土手近く、
住友ツインタワーの足許にTrattoria「Locanda(ロカンダ)」がある。“Locanda”というのは”旅館”というような意味だけど、
こちらでは”寛げる空間”という意味合いからそう名付けたのだそう。
きっと夜の部でも気の置けない感じで、
心地よく過ごせるのじゃないかなぁ。
「Locanda」
中央区新川2丁目25-10 [Map] 03-5542-0216
http://www.farm-to-table.jp/