またまたあのお店へと擦り抜けたのは、 蒲田駅の中央改札口。
西口の階段を降りて、ロータリーの脇を通り、 たまにはこっちからとサンライズ蒲田のゲートを潜ります。
ここに23区内唯一の「山田うどん」があるのだよ、 なんてツマンナイことを云いながら、 サンロードの方へと左に折れて、 蒲焼の「寿々喜」の佇まいがいい感じだね、 なんてことを話しながら線路沿いを往く。
すると踏切のところでなにやら撮影に勤しんでいる御仁がいる。
あれ?っと声をかければやっぱり、グヤ父さんじゃありませんか(笑)。
そのままやーやーと例の狭くて急な階段を上がる。
二階の客間を覗くと、窓側には「HAPPY BIRTHDAY」の飾り付け。あれ?誰かの誕生日だったっけと顔を見合わせていると、
そこへ店のオトーサンが上がってきて、
手前、冷蔵庫前、厠前のテーブルを指差した。
あ、こっちですよね、そうですよね(笑)。
料理はもう全面的におまかせでお願いをして、
隅の冷蔵庫から勝手に麦酒瓶を取り出して、
最初のカンパーイ!そこへお皿が4品ほど届きました。
ところが、さっきから時計をちらちらみていたグヤ父さんが、
それ今だとばかりに立ち上がり、線路側の硝子窓を引き開ける。
じっと待つこと数十秒。頭上の「HAPPY」が風に少し揺れる。
父さんのiphoneがちゅるちゅるちゅるちゅる~と唸る。
一体全体、なにを撮っているのでしょう。
ちゅるちゅるをひとまず終えて、テーブルに座り直して、
ちょっと遅れて合流した、蒲田と云えばのkimimatsu姐さんとご無沙汰のカンパーイ!
テーブルのお皿には、「筍の豚炒め」に「葉大蒜のベーコン炒め」。素朴な炒め物だけど、葉大蒜の風味にベーコンの脂がよく似合って旨いっス。
もうふた皿は、「豆腐干炒め」に「三杯鶏(さんぺいちー)」。
高野豆腐とはちと違う豆腐干ってこうしていろんな炒め物に重宝しそう。三杯鶏は、大蒜がごろごろっと入っていてダイジョブかなっと思うけど、
まずは、すっかり濃い目の飴色に染まった小さめの手羽中を両手で持ち、
口の廻りを汚しながら齧りつく。
うまい。
醤油に紹興酒あたりのお酒を主体にこっくりと煮付けてある。
ほっこりとろんとした大蒜もまた旨いのだ。
おまかせメニューは、ココのトーサンカーサンの愛情の勢いのままどんどん来る。お馴染みの絲豆腐のサラダ「豆腐干絲」は、胡瓜、セロリ、人参を同じ細さに刻んでいるところが、
まず肝要なのでありますね。
iphoneでちらっとなにやら調べ物をしていたグヤ父さんがふたたびむっくりと立ち上がる。
引き開けた窓辺のさっきのポジションに座り直して蒲田駅方面を注視する。今通ったヤツがまたすぐ折り返してくるのがまたえーんや、とかなんとか宣ひつつ、
ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるる~っとiphoneを繰る。
一体全体、なにを撮っているのでしょうね(笑)。
「嗚呼、あの、ヴァージンオイスターに似た牡蠣がここにも!」と、
以前お邪魔した時に愕かせてくれたのが、「牡蠣煎」。小さな牡蠣を片栗的とろみ粉と溶き玉子の膜で包むようにする、
印象的な台湾のお皿のひとつだ。
台湾料理で印象的と云えば、これもそうだねと「緑竹筍」。那覇で見付けた台湾料理の店「青島食堂」でいただいた筍も柔らか甘くって、
そこでも同じように、例の甘いマヨネーズをつけていただいたのを思い出します。
ザルツブルク帰りのlara姐さんも、マヨネーズたっぷりつけてご満悦。
定番の子袋と胡瓜の和え物をいただいていると、
オカアサン(芸名マリさん)が、紹興酒にこれが合うよと持ってきてくれたのが台湾の梅干。しわっしわで小さい梅干を紹興酒のグラスに投入すると、
徐々に水分を含んで次第に柔らかくなっていき、
それと同時に梅エキスがほんのり甘く紹興酒に滲み出す。
ザラメ入れたりなんかするよりも断然この方がいいね。
これも以前、とっても面白がせてくれたよねと「茶葉蛋」の殻を剥き始める。お茶で煮ることで茶褐色の殻になり、
中の白身も蜘蛛の巣状の模様と風味が加わるのであります。
台湾腸詰で紹興酒のグラスを舐めているところを思い出すと、
またこの光景も思い出す。ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅるちゅる~ん。
あれ?グヤ父さん、走りゆく電車を撮ってるんでしたっけ(笑)?
これも定番かと思うのは、「しじみの醤油漬け」。ふと、名古屋は栄の台湾薬膳料理の店「満拿(まんな)」の妖しい感じを思い浮かべます。
「食べる?」と訊くオトーサンの問いかけに勿論NOとは云わない総意にて「大腸麺線」。
パクチー大盛りでお願いします。鰹出汁魚粉の利いたとろとろツユにまさに”麺線”という趣の極細米麺がよく似合う。
そこへホルモンの滋味が追い駆けるっつー仕掛けであります。
今度は、ほろ酔いのマリさんが二階に上がってきて、これ食べる?と訊く。
手にした野菜は、「A菜」というそうで、冬しか採れないという台湾の野菜。
既に随分食べたような気もするけど、全然膨満感はない。勿論いただきますとお願いした炒め物の葉っぱは、
なんだほっとするよな優しい味わいでありました。
デザートには、谷中の専門店でもお馴染みの「愛玉子」。シロップをちょっと加減したらやっぱりほぼ味がない。
檸檬汁も甘味もしっかり注入するのが美味しい愛玉子のいただき方だと改めて知りました。
池上線の線路際でちょっと妖しいネオンが誘う台湾家庭料理「喜来楽(しーらいるー)」。狭い一階のキッチンからこれだけの色々台湾メニューが繰り出されてくるなんてちょっとミラクル。
台湾のオトーサンと台湾のオカーサンが親戚一同を迎えるように接してくれるのが心地よい。
そして、そんな「喜来楽」には基本的にお休みがないそう。
台湾に帰ることがないので、日本に渡航する知人があれば、
台湾ならではの食材を持ってきてもらうことが多いという。
実はタイムリーで貴重な台湾の食材を惜しみなく供してくれているんじゃないかと知れば、
ますます有難くいただかなければいけないね。
口関連記事:
軽食喫茶「愛玉子」でつるりんと涼しげ檸檬色谷中の夏の風物詩(14年10月)
「喜来楽」
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