またの名をチンチン電車。
トコトコ走るその姿は、鉄チャンならずとも、
なんとも云えずノスタルジックでどこか心躍るような、
そんな気分にさせてくれます。
庚申塚駅のホームに店がある、
居酒屋「御代家」の様子を反芻したり、
レールが軋む音を背中に聞きながらラーメン啜れる、
「ホープ軒」の表情を思い出したりしながら、
大塚駅前の停留場に降り立ちました。
停留場の双方向にチンチン電車が並ぶ構図がいい。ローズレットなんかのカラフルな車両もレトロ調の新型車両も悪くない。
90度ぐわんと曲がる軌道を眺めつつ、
居酒屋「江戸一」の店先の灯りを振り返りつつ、アーケードを南下します。
どういう訳だかアーケードの途切れた処。
そこに、武蔵野うどんの「いろは」があります。
萌黄色の暖簾を払うと、左手にテーブル席、右手にカウンター。カウンターの奥に腰掛けて、厨房を覗くと、
沸き立つたっぷりのお湯に、掬い網が泳いでいます。
お品書きから選ぶご注文は勿論、
当店一番人気と赤丸のついた「肉汁うどん」。
「かき揚げ」を添えてもらいましょう。
やや待って、届いたうどんの中盛りは600グラム。世のつけ麺だと、大盛りでも400グラムくらいの設定が多いような気がするのに対して、
つけうどんの場合には総じてたっぷりと重くなる傾向にあるようです。
茶碗のような器に注がれたつけ汁は、利尻昆布、宗田鰹節、鯖節、うるめ鰯、鰹節等を贅沢に使ったと謳うもの。
豚肉は勿論のこと、刻んだ油揚げや筒切りの深谷葱もたっぷりと浮かんでいい感じです。
太さ程よいうどんは、武蔵野うどんらしい灰褐色を帯びたものではなく、
湯上り艶やかな純白系。つけ汁にしっかりと浸して啜り上げると、
出汁の旨味の後から、澄んだ粉の風味が立ち上がる。
農林61号に思う粉の滋味とはちょと違う気もするものの、
これはこれで、悪くない。
出汁を吸った油揚げやしゃくっと甘い歯応えの葱もよい。600グラムをあっという間に平らげてしまったのでありました(笑)。
大塚のアーケード通りに武蔵野肉汁うどんの「いろは」がある。山手線の内側にある武蔵野うどんの店は他に知らない稀少なお店。
ただ、残念なことに赤羽のお店は閉めてしまっていて、
今はここ大塚店のみになっている模様。
今度は暑い日にやってきて、「赤山椒肉汁うどん」に挑戦しようかな。
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「いろは」大塚店
豊島区南大塚3-44-15 [Map] 03-5985-4491
http://www.irohaudon.com/