渋谷や池袋駅のコンコースに登場したのと前後して、
忽然と出来たユニクロの小粒店舗が、
往来をやや妨げるように建っている。
JR構内へのユニクロ出店計画は、
どんなことになってるのかいなと思ったりもする。
ただ、池上線と連絡するエスカレーターや、
エレベーターを設置する工事も済んでから、
工事資材や架台が減りすっきりとした感じもする。
そんな五反田東口駅前の喧騒の中。
如何にも仮設な「築地銀だこ ハイボール酒場」の狭いテラスで、
たこ焼きにハイボールでちょろっと寄り道ってもの悪くない。
そこからレミィ五反田へと渡る歩道橋の下へと回り込むと、
「五反田名物立喰ずし」と謳う看板が姿を現す。誰が”名物”と評したのかは扨置くとしても、
どうも印象があまりよろしくないここの暖簾をふたたび払ってみましょうか。
扉を引いて入ると、どんよりと語尾の不確かな「いらっしゃ…」。
早速出鼻を挫かれて、居場所をどこにしようかきょろきょろとしてしまう。
入ってすぐも落ち着かないので、鋭角に曲がるカウンターの右手を廻って、
右奥最深部へと進みます。
カウンターの隅に小さな手洗いがあるものの、
そこへ手を伸ばす気になれず、不織布おしぼりで手を拭います。
お飲み物はと訊かれて思わず「ウーロンハイ」と云うと、ありません。
じゃ、チューハイはと問うと、それもないと云う。
つまりは、焼酎を置いていなくて、酒類は、麦酒か日本酒のみ。
それではと、日本酒を冷(ひや)でお願いしました。
すると、そのお酒はしっかり冷えている。
お品書きを眺めると、日本酒一合(岩手「あさ開」、熱燗、常温、ひや)と書いてある。
いつから、ひやが常温でなくて、冷たくしたお酒のことになったのかなぁ。
ま、冷たいので特別困る訳ではないですけどね(笑)。
まずはちょいと抓んでと、「3点盛り」を。鰤の系統に鮪、細魚がやってきて、ひと心地。
ふたたび、お酒の徳利を傾けます。
徳利が空いたところでにぎりへと移りましょう。
おすすめ黒板メニューから、旬も終盤のさんまに小肌。秋刀魚の蕩ける脂はやっぱり美味しいね。
小肌は、わざわざ”自家製”と謳っているけど、
そうするとそう謳っていない酢〆のタネは、自家製ではないのかなぁなんて、
またツッコミたくなってしまう(笑)。
ふたたび黒板メニューから、生カキに活〆しまアジ。さすがに殻を開けての牡蠣ではないと思うけど、
その割には汁で舎利が濡れてぽろぽろとご飯が零れ落ちる。
思えば牡蠣ってこの点がにぎるのにちょっと工夫がいるところかもしれません。
今度は通常メニューから、浅〆サバにツメの穴子。鯖に入れた包丁は、随分と不揃いな包丁だけれど、
それはそれでお手製な感じがして悪くはない。
どうにもいただけないと思ってしまうのは、
大将と思しきオヤジさんの受け応えの愛想と気風のなさ。
どんよりして、活きのいい魚介を扱っている風情なく、
なんかお疲れなのかなぁ、気に病むことでもあったのかなぁと心配になる。
定番メニューの芽ねぎに黒板メニューのあおやぎ。実は芽葱のにぎりは大好物。
青柳に手を伸ばしたところへお隣さんの煙草の煙がすーと漂う。
うーむ、そうでした、此方は全面喫煙可の寿司店なのでした。
お茶をいただいて、最後に巻物をと「山ごぼう巻き」。頬張りながら、そう云えば山ゴボウってそもそもなんだっけと、
その場で検索してみると、アザミ類の根っこの山菜なんですね。
お会計を済ませてふたたび暖簾を払うと、頭上でゴゴゴと電車の動く音。見上げたところを萌黄色(黄緑6号というらしい)のラインが走ってゆきました。
五反田駅のガード脇、歩道橋下の暗がりに立喰い寿しの「津々井」がある。「津々井」の名はおそらく、筒井さんの姓から転じたもの。
京料理のお店など、苗字に別の漢字を当て嵌めて、
粋な感じにする手法はよくみられるところ。
あ、新川の洋食「津々井」も同じように筒井さんなのかな。
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「津々井」
品川区東五反田1-26-2 [Map] 03-3440-1743