
荒川の河川敷に面して、
千住新橋の南詰に建つのが学びピア21。
放送大学の東京足立学習センターが、
区の図書館や講堂などとともに併設されています。
7階の「さくら」が意外と出色のカフェレストランで、
ナポちんも勿論既食の「ナポリタン」も素敵に美味く、
荒川を望む夕暮れのテラスで呑むビールも堪らん、
知る人ぞ知る場所なのです。
そんな学びピア21の講堂へ、
laraさん達による放送大学講座「フルートのさまざまなカタチvol.2」のリハーサルに顔を出しました。
リハーサルが済んで、何処かで一献と向かったのが、
知る人ぞ知る立ち飲みの「徳多和良」。
ところが、丁度お盆の時季ということもあって、
夏季休暇のお知らせに突き当たる。
ならばと振り返ったお向かいのお店。
スタンド看板には、牛串煮込み「藤や」とある。
ひとン家の玄関先にただ暖簾を架けたようにもみえる佇まいも味のあるところ。
闖入を試みましょう。
サッシュ扉を開ければ、そこは正に玄関の土間のよう。
そこにL字形のカウンターを据えていて、その角に銅の鍋が鎮座してる。

奥に目を遣れば、テレビに向かう居間がある。
その奥が台所(調理場)となっている。
外も中もひとン家や(笑)。
鍋に臨むカウンターの角に陣取って、まずはジョッキの泡を。


お通しの茄子の味噌煮にしみじみしつつ、
壁に掛った黒板の白墨文字を物色すると、気になるもの目白押しだ。
色味鮮やかな「クジラ刺」は、蕩けるような口当たりと美味しさ。

臭みなんて勿論ありません。
以前は、如何にも解凍したものです、という代物もあったのに、
冷凍解凍技術が向上したのか、はたまた流通事情に変化があったのか。
何れにせよ、捕鯨に対する風当たりは依然として強い中、
有難くいただくことといたしましょう。
「あじ酢」は、いい塩梅と〆加減。

さっと柔らかに旨味が解けるに嬉しき哉。
棚に並んだ焼酎は、キンミヤのラベルのみ。

実に柔和で篤実な人柄を窺わせるオヤジさんにどうやって呑るのがよいかと訊くと、
焙じ茶割りを勧めてくれる。
はい、焙じ茶割り、好いであります。
柔くなるまで待ってね、と告げていたオヤジさんが、
うん!という顔をしてから皿に載せてくれたのが、
「牛串煮込み」のハチノスにフワ、牛スジ。


ハチノスは、ご存知トリッパ。
肺であるところのフワが、歯触り妖しく汁をよく吸っていて旨い。
味噌でこってりとした煮込みも少なくない中、
割ときりっとした醤油仕立てだ。

続いて、玉子と一緒に盛ってくれたのが、ハツモト。
ハツ=心臓の近く、大動脈辺りの部位がハツモトと呼ばれるらしい。
これ、切身によっては、噛んでも噛んでも噛みきれないものがあって、
噛みながら顔を見合わせて笑うこととなりました(笑)。
下町居酒屋でよくキンミヤとセットになっているバイス的なものが、
此処では原液をセルフサービスできたりする。

エキスの濃さや甘さを加減しながら呑むことができるンだ。
うん、愉しい嬉しい大好き。
「ポテトサラダ」や「剣先するめ」を肴にグラスを傾けているところに、
先に注文していた「キャベ玉」がやってきた。

成る程、そふいふ見映えでありますかと一斉に視線を集めるお皿には、
お好み焼きのような、スパニッシュオムレツの一部ような料理が載っています。
キャベツと玉子の自然な甘さが相俟って、ナハハと美味しい。
粉は使っていないので、お好み焼きとは違う。
家庭の味のようでいて、立派に気の利いた酒肴なのであります。
蒸かしたジャガイモにバター載っけたヤツ。
そんな想像しかしていなかったところに「じゃがバター」。

しゃくっとした歯応えを残すように炒めた感じが実にニクい。
これは、注文した方も素晴らしいといえましょう(笑)。
海鞘はどうも苦手でと顔を顰めるlaraさんにと「ホヤ塩辛」。

恐る恐る口にして、うん、ダイジョウブ。
新鮮でない刺身や酢の物に出会すとそれがトラウマになってしまうきらいがあるけれど、
こんな塩辛なら、大丈夫、じゃなくて、イケるでしょう。
北千住の裏通りに牛串煮込みの店「藤や」の暖簾。

他人様の玄関先で呑んでいる気分もあっと云う間にまったりと解けてきて、
下町情緒の居心地やよし。
並びにいらした下町チックに威勢よくずんずん話しかけてくるオバ様(笑)は、
翌日のレクチャーコンサートに参加してくれると、ちょっと酔った調子でそう仰る。
果たして本当に足を運んでくれるか、正直多少訝しんでいたものの、
しっかり参加していただいたのも、このお店での楽しい出来事でありました。
「藤や」
東京都足立区千住2-35 [Map] 03-3870-6677
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