ちょうど半年くらい前のことでしょうか。
西馬込に向かう浅草線を中延駅で降りたところで、
急にいつもの徘徊癖が頭を擡げてきて、
そのまま第二京浜沿いをぷらぷらと南下する。
二葉四丁目の信号のところで右手を振り向いて、
きっとこのまま往けば荏原町の商店街に繋がると合点する。
このまま歩いていってしまいましょう。何度かお邪魔したことのあるイタリ料理店「たなか」の前を通り過ぎたところで、 「大衆食堂」の文字が目に留まりました。 揺れる暖簾に営業中と認めて、ちょっぴり探検な気分で、当の暖簾を払う。 軋み乍ら開いた引き戸。 ところが、店の中は濃い煙に霞んでいて、ハッとなる。 その煙は線香の匂いを含んでいて、 その向こうに泣き腫らした表情の姐さんが、力なくこちらを振り向いた。 カウンターの香炉から立ち昇る煙。 どうやら食堂のご主人が亡くなった直後だったようです。 そんな哀悼の際に呑気な体でお邪魔して御免なさい。 きっと、敢えて店先に提げた暖簾だったのでしょうね。
暫らくして今度は、荏原町商店街方向から訪ねてみました。 ご主人を失って、そのまま閉店というのも少なからず起きることですが、 あの時の看板が明るく灯っていました。
角の削れたメラミン天板のテーブルが二台。
ひとまずウーロンハイをいただいて、 きょろきょろとお品書きの文字を探ります。
カウンターの幕板に貼られた紙に「今週のおつまみ・一品料理」がずらっと並ぶ。
何かつまみになりそうなものをとキョロキョロして、 例えば、きっと親子丼のアタマだと合点した「親子煮」380円。
「今月の定食の部」の最後のところにさらに貼り紙してあるのが、 “油で炒めないヘルシー低カロリ”と謳った「豚肉とキャベツの定食」。 小さな文字で”ソテイ”と添えているのが意地らしい(笑)。
「牛カルビ焼肉炒め定食」は、その日の仕入れによって値段が変動するとある。 括弧書きで”又は牛ロース”ともあって、なんだか自由な定食になっている。
どうやら定番中の定番のひとつらしいのが「鶏肉とハクサイのあんかけ豆腐定食」。
また別の夜には、 「もやしあんかけラーメン」にしようか、「チキンカレーライス」にしようか迷って、 カレーを選んでみる。
荏原町商店街の外れ辺りに大衆食堂「あらい」の暖簾がある。
「あらい」 品川区中延6-2-17 [Map] 03-3783-9676
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