モノトーンの店内は、L字コンパクト。 もしや満席ではと伺うと、二階へどうぞとオネエさん。 あ、二階があるのねと、壁に収めたワインボトルやグラスを横目に階段を上がります。
中央のテーブル席に背中をつけると、 正面にワインボトルをオブジェのように置いた白い棚。ボトルで満たすことなく、装飾を意図したものなのかもしれません。
ひとまずのオーダーは、期間限定極みの一品と謳う「オムライス」。 メニューには、横浜の老舗フレンチのシェフが作る、と補記されている。 そうとなれば、使い込んだフライパンを巧みに操る光景を拝みたくもあるけれど、 二階席ではそれも叶わず。
なかなかの量感でやってきた「オムライス」。恙無く炒められたチキンライスを包む玉子に、 フレッシュな酸味を残したトマトソース。
なるほど、基本に忠実であるべし、な仕上がりにシェフの横顔を想います。訊けば、横浜の老舗フレンチとは、かの仏蘭西料亭「霧笛楼」のことだそう。 元町の裏通りの洋館を思い出します。
今度は、一階角の硝子テーブルに席を得る。ハートマークをモチーフにした椅子は、 お洒落だけれど座り心地はいまひとつ(笑)。 「自家製ナポリタン」をオーダーしました。
所謂豪快な炒め音は聞けないまま到着した楕円のお皿。 長時間煮込んだ自家製トマトソースをふんだんに使用したスパゲティは、 ケチャップ使いの気配も控え目なシャツに飛んじゃう系。元フレンチのシェフに、 茹で置き太麺しっかり炒め喫茶店ナポを求めるのは、お門違いでありますね(笑)。
今度は、一階のL字を右に折れたドンつきのテーブルへ。店長とシェフが並ぶ瞬間を眺めます。
何故か讃岐の製麺所から直送されてくるという生パスタのお皿を横目に、 「One Heart」のゴハンもの「自家製塩麹漬け焼き 肉厚豚肩ロース」を。
ああ、塩麹風味満載のお味。西京漬けに思う、風味強くもオツな感じとは趣が異なって、 旨味が直球の強さとなってしまうあたりは、遊びがないというかズルいというか(笑)。 塩麹使いは加減が難しいのかもしれませんね。
Dining Bar「One Heart」は、11年07月のオープン。女性店長に、店の名前を「One Heart」とした理由を訊ねてみました。 するとほんの少し神妙な表情になって。 ちょうどお店の名前を考えていた頃に震災が起きた。 大きな出来事に向き合った時、心ひとつに絆を深めてゆくことが大事だと、 そういった想いから「One Heart」のフレーズが浮かんだと。
口 関連記事: 仏蘭西料亭「霧笛楼」で 情緒満喫満足の8皿横濱フレンチ(08年01月)
「One Heart」 中央区日本橋茅場町2-3-3 ホンカビル [Map] 03-3665-8881
column/03321