天ぷら定食「ちはら」で 海老天わらわらと穴子に替えて天つゆで

chihara.jpg鍛冶橋通りが八丁堀から新川へと亀島川を渡るのが、高橋(たかばし)。 その欄干から下流を眺めると、亀島川の終いを教える水門が見える。 その向うには、佃のタワー群が望めます。 川面では、数羽の海鳥が鳴いている。 麗らかな秋の陽射しの中にしばし佇みます。
水門の脇を渡るのが、南高橋。chihara01.jpg南高橋を新川に渡った辺りに時々思い出しては足を運ぶお店があるのです。

リバー通りと呼ぶ静かな裏通りの植え込みに見つかる「天ぷら定食」の文字。chihara02.jpg覗く路地にある臙脂の暖簾が目的地です。

満席に出くわすことも少なくない、L字のカウンター。 空席を見付けて安堵して、小さな椅子に腰掛けます。 そのままひと呼吸待てば、大根おろしの入った器にご飯、蜆の味噌汁が載ったお膳が届く。 傾けるポットから流れ出るのが天つゆだ。

そこへ、あいよ!ってな気風で敷紙の上にばらばらっと配られるのが海老の天麩羅。chihara03.jpgchihara04.jpg勢い余ってカウンターに零れてもご愛嬌。 早速、用意していた天つゆに浸して齧り付きます。 海老の身の甘さと衣の香ばしさ。 繊細なそれとは趣の違う天麩羅は、卓上塩よりも大根おろしの天つゆが断然良く似合う。 なによりわらわらと六尾の海老天が嬉しいではありませんか。 もちろん尻尾までぱりぱりといただいてしまいます。

野菜の天麩羅は、例えば蓮根とか南瓜とか。chihara05.jpgきっと海苔の天麩羅も定番なのでしょう。

この時季の「天ぷら定食」唯一の選択肢が、「穴子」。chihara06.jpgchihara07.jpgそれには、椅子に腰掛けたや否や、例えばキスを穴子に!と告げればいい。 此処では齧ればほっこりと湯気の出る穴子にも、 やっぱり大根おろしの天つゆが一番似合うのです。

創業40数余年という、裏路地の天ぷら「ちはら」。chihara10.jpgこんな気の置けない天麩羅たちをアテに瓶の麦酒でもやっつけにお邪魔したいところだけど、店主がご高齢ゆえ、今はおひる時のみの営業だそう。 遅番のランチには、好きな野菜天を5つ選べる「一時からの野菜天ぷら定食」という手もあり。

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「ちはら」 中央区新川2-21-12 [Map] 03-3551-5962
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