ちょっぴり床を軋ませて、久し振りの「まめや」さん。開け放った扉から覗く夏の裏通りや簾越しに窺う路地の陽射し。 ちろりんと風鈴が涼しく揺れるのが似合いそうな風情があります。
「まめやのお昼ごはん」は、どんな事情か、水木金のみの営業で、 お品書きは週替わり。 基本形は、温かい前菜に野菜たっぷりおばんざいのプレート、メインのおかず、そして玄米ごはん&味噌汁、プチデザートという組み合わせだ。
一品づつ順番に出していきますからね、ということでやってきたのは、 「じゃがいものスープ」とそれを追うように「おばんざい盛り合わせ」。暑くなってきた頃に「じゃがいものスープ」と訊けばすぐさま、 和風のビシソワーズかな?と思うけど、手にした器は明らかに熱々。 黒七味のそれのような粉末が振られているけれど、 スープ自体はじゃが芋で作った粥のような、兎に角優しい味わいで、 既に和んでいた気分がさらに和らぐのが判ります。 丸皿に綺麗に並べられたお惣菜は、可愛らしき小宇宙。おかかのかかった薇のおひたしに、人参とめかぶとろとろには胡麻油の風味を添えて。 具たっぷりの玉子焼きには、パプリカや冬瓜が織り込まれています。 これでちょこっと晩酌したいと思うのは、ボクだけじゃないでしょう(笑)。
玄米ご飯が甘くて優しいなぁと思いながらあおさの味噌汁を啜ると、これまた塩分控えめの優しい仕立てです。
そして、今週のメインのおかずは、「高野豆腐のカツ」。 高野豆腐をカツにしちゃうなんてのはもう、 すっかり精進料理の発想なのでしょう。 云われぬまま眺めたら、衣をつけて揚げたはんぺんか。はんぺとは違う重量感を箸の先に感じながら、えい!っとばかりに(笑)齧ると、 なるほどこうするに絶妙の厚みにスライスした高野豆腐。 軽く締まった歯触りが柔らかな肉で揚げたカツを食んでいるような気にさせる。 ソースも用意してくれたけど、衣に塩した加減だけで十分だ。
お茶を啜りつ、きっとお手製であろう「豆乳チョコムース」を舌の上で蕩かしていると、改めて首尾一貫した女性らしい優しさに気づくのです。
新富の裏通りの一軒家でしっとり営む、ほっこり和食処「まめや」。ビルとビルの谷間にこんな空間があるって、もっと知って欲しいような知られたくないような。 口 関連記事: 和食屋「まめや」で 満寿泉マテ貝いかワタ焼き金目ブイヤベース(09年01月)
「まめや」 中央区新富1-7-12 [Map] 03-3206-3155 http://mameya502.exblog.jp/
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