ミラベル宮殿を抜けて、
すっかり日の暮れたザルツァッハ川の辺へ。
旧市街側へと渡る幾つかの橋のひとつ、ミュールナー・シュテークを渡れば、その橋の上からもホーエンザルツブルク城が望めます。
メンヒスベルクの高台に横たわる幻想的な古城の雄姿に見惚れていると、川面を渡る冷気に頬がちょっと痺れてくる。
少し肩を窄めて橋を渡り切り、そのまま川沿いのプロムナーデを辿ります。
街のシンボルのひとつは、視野から外れることなく、ライトアップに灯りに浮かんでる。
川辺を離れてクシュテッテンガッセを往きます。
見上げる岩壁は漆黒の闇。
その壁に沿うように並ぶ店々の中にある一軒のワインバーにお邪魔しました。
ちいさな店のカウンターには、おでこに眼鏡を上げ、頬杖をついて客の話を聞くマスターと如何にも常連な三人組が朗らかに歓談中。
お邪魔せぬよう、隅のテーブル席へと闖入します。
酸味ほどほどのものをということで、白のグラスを一杯。
ヴァッハウ渓谷のシャルドネ。
ミネラルなキレがみるみる解けてゆく感じが面白い。
三人組がしゃべくりながら店を後にしたところで、もう一杯。
エチケットが示すのは、トラミーナーTraminerのシュペートレーゼSpätlese。
甘いのかな?と思いながらグラスに鼻先を寄せると、
如何にもな甘さとはベクトルの違う芳しきアロマ。
つーっと口に含むと、やはりドイツのシュペートレーゼにイメージする甘さではなく、
フフっと膨らむ華やぎに品のいい甘さを含んで広がる感じだ。
クシュテッテンガッセのワインバー「il Barone」。
VINOTHEK、PROSECCHERIA、GRAPPARIA。
イタリアワイン専門かといえば、そんなことなく、オーストリアのものを中心としたワインあれこれやグラッパがグラスで愉しめるお店のようです。
「il Barone」
Gstättengasse 3 Salzburg[Map] 0043664 1038062
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