その御仁は、店の一番奥のテーブルに収まって、既に普通に呑んでいる。 ほっと安堵すると同時に、そんな病気の発症がホントにあったのか、不思議な感じ。 なにはともあれ、よかったよかった。
既にぎゅう詰めのテーブルの端っこに入り込むと、早速生牡蠣が目の前に。まだ動いているんじゃないのぐらいに活きはいいのだけれど、如何にも身が薄い感じかする。 畠山先生によれば、こういう薄っぺらいのはヨーロッパで好まれるタイプらしい。 食の嗜好というのは、面白いもんです。 とかなんとか考えているところに、雲丹がやってきた。木箱のまんま無造作に出てくるところが「魚仁」らしくて微笑ましい。 いつぞやのミョウバンの苦みなどどこへやら、最近は使わなくなっているのかな。 行き交う姐さんに熱燗をお願いすると、湯呑でやってくるのも「魚仁」流。 いちいちお猪口に注ぐなんてめんどくさいじゃん、ってな感じ(笑)。 鮮やかな人参色で届いたのは、「赤貝刺し」。ぷっくりと澄んだ味わいに含む甘さがいいね。 定番のゴロゴロ切りの鮪や「白子ポンズ」「大アサリ焼き」に続いて、 活きアワビ刺し。想定通りのコリコリ食感に、これは柔らかくしていただいた方が美味しいかもと話しながら湯呑を空けます。 「魚仁」は、刺身ばかりの居酒屋ではありません。 「鮪かま焼き」は、やっぱり外せない定番モノ。 烏賊わたをたっぷり味わう青森料理「なか村」の「いかげそ焼き」をイメージして注文した「イカミソ焼き」は、残念ながら烏賊味噌の使い方が全然ズルくない。ま、それでも、湯呑の燗酒によく似合う肴であるけれど。 そうそう、「ネギと玉子炒め」が旨いのだよねーと思い出して、 そう云えば「自家製チャーシュー」も云っときたいと、再び姐さんに声を掛ける。とろんとして香ばしく、柔らかく。 まさにツマミのチャーシューではあるけれど、 一目置くらーめん店主もいるのじゃないかな(笑)。
大胆盛りの魚介酒肴盛り沢山ですっかり知られた月島の居酒屋「魚仁」。いつの間にか店頭が、魚屋兼八百屋になっている。 地域にすっかり馴染みながら、心意気が褪せない感じが頼もしい。 あ、いけね、「ポテトサラダ」を食べ損ねちゃったじゃん(笑)。 口関連記事: 居酒屋「魚仁」 で寒中のまぐろ鮪マグロ煮込みにマグロ(08年01月)
「魚仁」 中央区月島3-12-5[Map] 03-3532-6601
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