長原駅入口信号から入り込む、北馬込本通り。
住宅も多く、商店街といえるのかどうか考えてしまう静かな静かなプロムナードだ。
その通りの一角に、ちょっと賑やかなお店が忽然とある。
台湾の屋台料理、台湾小館「一福」。
“倒福”の文字が飾られたスタンドサインとその上で煌めくパトライトが目印だ。
満席で入れないことも少なくないカウンター。
その隙間に入り込んでまずは、瓶の麦酒を所望します。
頭上の下がり壁には、当地の屋台を彷彿とさせるような、カラフルな品書きが。
古びて劣化したシート文字が捲れ上がっているのも風情だね。
ツマミ的にと、
「干しエビとレタスの炒め」に「采脯煎蛋(干し大根入り玉子焼)」を。
くたっとしたレタスに小海老の香ばしさが相性のいい。
北京鍋の底で揺らしてくーるくると揚げ焼きされた玉子から、なるほど干し大根の風味が滲みます。
別の夜のお酒のお供は、「嚕蛋(ゆで玉子の煮込み)」100円也。
近頃のらーめん店にみる煮玉子とは方角の違う仕立ての固茹でで、
くんたまに近い感じ。
「一福」の呑みものは潔くも、ビール、日本酒、紹興酒のみ。
紹興酒の小瓶をいただきましょう。
「嚕味舌頭」は「タンの煮込み」。
オイスターソースのようなでもそれだけれでは決してない煮ツメのようなタレがとろんと載っています。
「蕃茄炒蛋(トマトと玉子の炒め)」では、
浅く火の通った蕃茄の甘さが妙に引き立つ。
おうちでも北京鍋振って、作ってみようかしらん。
そうそう、そんな北京鍋は、
がっちり躯体のオヤジさんが振るのかと思ったら然にあらず。
ジーンズの似合う女将さんがキレよく振るうのだ。
味見のために使い古した蓮華が、いい。
そして「一福」の牡蠣メニューをふた品。
ちょっと待ってねと焦らされたのが、「煎蚵仔(かきのカキアゲ台湾風」。
大振りなカキアゲが4つほど、無造作に積まれてきます。
やや硬めの揚げ口なれど、齧れば弾ける牡蠣と野菜たちの香りと風味。
甘辛酸っぱいタレにちょん漬けしながら、
不思議とペロンと平らげてしまいます。
「鮮蚵草菇」は、「フクロダケとかきの炒め」。
しっかりとろみの片栗あんの中にも牡蠣のエキスが滲み出て、
フクロダケのぷりゅっとした食感と重ねていい感じ。
青梗菜なんか、そんなソースをもっとたっぷり纏っちゃうもんね。
むははっ。
オカミサンに、「あんたカキすきねー!」と云われてしまいました(笑)。
八雲の「Hibusuma」でもいただいて以来隠れファンな「愛玉」があるねと、
「檸檬愛玉(台湾ゼリーレモン風味)」。
台湾料理のシメは、これで〆たいね。
ひっそり北馬込本通りで地元のがっちり人気店、台湾小館「一福」。
旦那は中国の寒さ厳しい北寄りの出身で、女将さんは台湾のご出身。
20年になるというこの店は、もうすっかり日本に根付いています。
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「一福」
品川区旗の台5-27-12
[Map] 03-3786-6817
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