マクドナルドが撤退して、
ちょっぴり寂しくなった長原駅前。
目星いお食事処がそう多くはない界隈で、
時折お世話になっている店があります。
駅から中原街道に向かって進み、すぐを左に折れると、中華料理「森蔵」の向こうに赤いスタンド看板が見つかる
そこにはただ、「韓国料理」とだけ白抜きされている。
この辺りで韓国料理と云えば、此処「Kim’s」なンだ。
カウンターに腰掛けると、目の前の古びたテレビでは、いつ行っても韓流ドラマが流れてる。
挿入されるCMは、地方色のある不思議な、でも日本語のものなので、きっとそんなチャンネルがあるのだろうね。
ちょろっとビールと思えば、韓国メジャー「hite」がよく似合う。
さらっと軽く、アジアのビールのイメージのする。
ちょっとした肴が欲しいなと品書きを眺めると、
もやしやほうれん草のもの以外にもナムルがある。
「カジナムル」というのは、つまりは茄子のナムル。
これがなかなかどうして、イケるヤツ。
焼き肉店とかで定番にならないのは、和えてから置いておくと、茄子の色が変わったりしてちょっと扱い難いからなのかな。
ここではやっぱり、チヂミもいただきたい。
“チヂミの王様”と謳う「パジョン」は、小葱を使うところが肝らしい。
香ばしい烏賊ゲソと外周のカリカリに玉子の柔らかな風味が重なるあたりが堪らない。
そして、角皿に用意された透明なタレが、なんだかソソル旨みのする。
一体この旨みは何だろうと、小指の先を浸しては舐め、浸しては舐め。
大蒜は含んでいてもそれがメインじゃない感じ
マスターに訊ねると、「韓国の魚醤なんです」と仰る。
ああ、なるほど、魚醤にニンニクと胡麻油少々に、小口切りの葱たっぷりに辛味を鏤めた、といったところか。
煮干しの魚醤にちょっとニンニクを使っていて味が変わり易いので注文の度に拵えるンですと、マスター。
うん、これはズルイ(笑)。
さらにやっぱり、夏の涼味「冷めん」もいただきたい。
口径の広いステンレスのボウルには、トマト、胡瓜、リンゴにサニーレタス、半切の茹で玉子に刻み海苔が浮かんでいます。
蓮華で掬う、澄んだスープは牛骨のそれか。
たっぷしふるふると旨みを湛えつつ、あくまでも涼しげで。
冬はやらない「冷めん」の麺は、蕎麦でも小麦粉でもなくて、さつまいも粉の麺。
つるつるとしこしこの加減が細やかで、太さの番手も塩梅がいい。
池上線長原の裏道に、こっそり本格韓国料理の店「Kim’s(キムズ)」。
マスターのキムさんは、日本来て11年、お店を興して8年になると云う。
その”キムさんの”の「’S」が、大韓民国国旗の”陰陽”をモチーフにしているね。
寒い季節にはまた、温まるものでもいただきに参上いたします。
「Kim’s」
大田区上池台1-17-1
[Map] 03-3748-8897
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