此処に来るのは、もの凄く久し振り。
浦所バイパスから松郷の畑の中に折れ入ったところにあって、 最寄りの東所沢駅からでも歩いて20分くらいかかりそうな立地なので、足がないと行けないのです。
道路が新しくなっている部分があって戸惑いつつも到着した「松郷庵 甚五郎」の駐車場。
そう云えば、「神明庵 甚五郎」も駅からとっても遠いところにあるんだよね。
紺瑠璃の暖簾の右手の硝子越しに麺打ち場がある。
覗いた作業は、寝かせた生地を延ばしているところかな。
案内されたのは、真ん中の大テーブル。
見上げた梁の上には、木の車輪が載っていたりして、ちょっと大きな農家のお宅に遊びに寄ったような気分にさせてくれます。
お願いしたのは勿論、「肉汁うどん」。
温盛りにもできるようですが、冷たいのでよろしくとオカアサンに伝えます。
一品料理のところで目に留まった「山芋唐揚」を目にすると、ああ、ビールが欲しいと強く思う。
さくっと軽やかでいて、山芋独特の粘つく食感も一瞬あって、愉しいんだ。
お盆に載って、つけ汁と笊のうどんがやってきました。
うどんには、明らかに小麦の外皮のような粒々が透けてみえる。
例えば、京都「ろぉじ」の全粒粉のつけ麺にみるような景色。
そのまま麺だけ啜れば、どこか遠くで甘いような小麦の香りがほんのりとする。
レジのところの貼り紙をみると、最近うどんの仕立てを変えたらしく、「香麦麺(こうばくめん)」と呼んでいるらしい。
うむ、なるほど。
つけ汁はというと、お約束の豚バラ肉をメインに長葱、茄子やシメジが浮かんでる。
バラ肉が極薄切りに過ぎる感じもするものの、武蔵野のうどんはこんな汁でなくっちゃな!って頷くに十分だ。
うんうん、うん。
お会計の際に、どこのどんな粉を使っているのだろうと尋ねてみた。
わざわざ厨房の方に声を掛けてくれた応えは、武蔵野エリアの地粉ではなくて、北海道産の、かもめという粉をメインにブレンドした粉で打ったうどんだそう。
小麦の香るうどんでへの工夫が嬉しいけれど、土着な武蔵野うどんとはちょっと毛色が違う麺であることもまた確か。
ふと、昔ながらの機械でゆっくり製粉しないと旧来からの武蔵野うどんの風味が出し難いんだよ、というようなことを説いてくれた、八丁堀のうどん処「福福」のオヤジさんの顔を思い出したりして。
所沢の田園風景の中に佇む「松郷庵 甚五郎」。
ひと通りのない畑道の有名店へと、あちこちから入れ替わり立ち替わり車がやってくる。
25年もの歴史を抱いているってことは、「甚五郎」の系譜の高いところにいるのではないかと思うのだけど、そのあたりどうなんだろうね、
Con Brio!!さん。
「のらうどん」も気になります。
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「松郷庵 甚五郎」
所沢市松郷272-2[Map] 04-2944-9168
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