Restaurant「Coulis」で 彩り野菜の活力長野収穫のキノコたち

coulis.jpg二日続けてランチしちゃった記憶も新しい、 新富町のレストラン「クーリ」。 その後もじわじわと話題になっているようで、 先を争うようにランチに訪れる女性陣でなかなかの盛況を呈しているらしい。 やっぱり夜にも行かなくちゃ! ってことで予約を入れた秋の夜。 暗がりから見上げるキッチンからも活気の片鱗か伝わるようだ。
階段の脇が食材のプレゼンテーションの場になっていて、 今夜目に留まったのは、ドンと置かれた粉の袋。 丁寧にも「十勝産小麦強力粉 春の香り」と貼り紙がしてある。 その粉がなにに化けるのかな。 テーブルに案内されて、食前酒。coulis02.jpgルバーブを甘く煮て、スパークリングワインと合わせたカクテル。 繊維質な果肉っぽい甘さが優しいカクテルだ。 ひと品目のプレートには、北海道産のししゃものフリット。coulis03.jpg花猪口(ハナイグチ)というキノコのフリットをのせ、そのキノコの軸で作ったソースをあしらってある。 香ばしく弾ける胡桃も長野から持ち込んだもの。 数日前にスタッフ自ら長野を訪れて、キノコ狩りや直売所めぐりをしてきたそうで、今夜はそんな食材をあちこちで愉しめそうな、そんな嬉しい予感(笑)。 ああ、軽やかなサクっの中に広がる秋の滋味。 続くお皿に黒鯛のセビーチェ。coulis04.jpgセビーチェとは、中南米でいうところの魚介のマリネで、黒鯛の身が湯引きしたように白みを帯びていて、酸味に浸したさらっとした中に旨みが凝縮してる。 その下で控えるは、クリタケ、ナメタケにヌメリスギタケモドキやムラサキシメジ(?)といった、やっぱり長野からのお土産キノコあれこれだ。 然らばワインも長野産にしちゃいたい、と選んだのが「ヴィラデスト プリマベーラ シャルドネ2006」。 キリッとしながら一瞬の華やぎや樽香りのような風味が折り重なる奥行きがある。 そしてこれぞ「クーリ」のスペシャリテでないの?の魚介と15種類の野菜のサラダ。coulis05.jpg彩り鮮やかな野菜たちの廻りに、ヴィネグレットのペイント。 ランチと違うのは、スタッフがテーブルに置いたお皿の上に恭しくソースパンを構えたこと。 そこからスプーンで掬った液体をサラダに回し掛けるも、そこからは半ば蒸発するように一瞬の白煙を上げる。 -196度の液体窒素で凍らせたドレッシングで風味づけ、という趣向だ。 この夜のお魚は、鰤。 その鰤には、青森県産の青海苔とシラスを添えるという、組み合わせの妙。 例によって、その下にリゾットが隠れてるんだ。 coulis06.jpg バジルのタネをトッピングした自家製パンを齧りつつ受け取ったお皿は、三片のチップスが浮かぶスープ。coulis07.jpgじゃが芋のスープかと思えばそうではなくて、 菊芋という北米原産のキク科植物の塊根のスープだという。 浮かんでいるのは、菊芋にピンクなじゃが芋ノーザンルビー、紫色したシャドー・ムーン。 大好きなヴィシソワーズをその繊細な風味のまま温かくしたような滑らかな滋味が伝えてきて、 いい。 coulis08.jpg すっくと皿の上に屹立しているのは、つまりは春巻き。 万願寺唐辛子、茄子にヤリ烏賊。 赤いサルサでパリッといただくと、中華なような、メキシカンのような(笑)。coulis09.jpg添えられていたほおづきを甘く齧ります。 リースリングでもそんなに甘ったるくない仕上がりという「LEON MANBACH 2007」にボトルを換えたところで、意外や自家製ピザ。coulis10.jpg茄子やパプリカ、キノコのピザに蒲公英の葉が横たわる。 おお、なんだろうと身を乗り出したのが、透明なお皿。coulis11.jpg北海道からやってきた白子を揚げ焼きのようにしていて、そこにマコモダケのボイルを帽子のように載せている。 零れないようにそっと歯を立てると、期待通りの濃度で解ける白子の愛おしさよ(笑)。 そして、お魚メインが長崎産の白アマダイのポアレ。coulis12.jpg鱗を欹てるようにカリサクに揚げていて、その食感と白い身のほっこりした甘さの重なりがいい。 coulis13.jpgcoulis14.jpg と、その下のソースから小振りな牡蠣の身が現れた。 牡蠣のリゾットが隠れていたとは~。 お皿の底にリゾットを潜ませるのは、折笠シェフの定番アイデアなのかもね。 方や、ショッキングピンクの断面が誘うは、信州和牛のランプのグリル。coulis15.jpg脂の甘さでなく深~い滋味を集めた赤身が柔らかにいただける。 「クーリ」らしく、周囲を固めるは、赤からし菜に野生クレソン、万願寺、などなど。 和牛のスジのジュを含んだキノコのソースが風味を添える。 デザートは二層のミルフィーユ。coulis16.jpgチョコレートのブラウニー、キャラメルアイスなんかをクッキーで挟んでる。 その造形を愛でつつ、エイッと崩して動かすスプーン。 たっぷりだけど、あっという間にぺろんと舐めてしまうんだ(笑)。 折笠シェフは、 長野「ヴィラデストガーデンファームアンドワイナリー」での研鑽を経ての、新富町裏通り。 一本目にいただいた白ワインは、その「ヴィラデスト」のワインであったのだ。coulis17.jpgそして、満たされた気持ちもお腹も軽やかなのはきっと、野菜たちの活力を利かすアレンジの賜物なんだね。 のむのむさんワシ・ブロさん旦八さん、ご一緒ありがとー。 口関連記事:Restaurant「Coulis」で 15種野菜とハーブでポワレとキノコのパスタ(09年08月) 「Coulis」 中央区新富2-10-10 2F [Map] 03-6228-3288 http://www.coulis23.com/
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