column/02824 @1,800-
手打ちうどんそば「甚五郎」で糧うどんに知る武蔵野うどん繊細版
花小金井駅を南口から出て、小金井街道に出る。
今年一番の暑さの中、そのまま小金井カントリー方向へ南下すると、鑑賞鯉のお店の向こうに看板が見えてきた。
手打ちうどん、そば「甚五郎」。
郊外の、そして街道沿いのお店らしく駐車場を広く備え、
それなりの容量のハコだとその外観が示しています。
およそゆったりとテーブルを配した店内。
左手の小上がりの座布団に座り込んで、早速品書きを眺めます。炎天を歩いてきた勢いで、「ビール!」と叫びたい気分をぐっと堪えて(笑)。
ところが、武蔵野うどんだったらやっぱり「肉つけ」系統だよねと決め込んでいるのに、パウチしたランチメニュー二枚の裏表にそれに該当するようなモノが見当たらない。
あれあれ、と思いながら綴じてある方の品書きを取り出して、そっちも捲る。
んー、ここにもないかぁ(落胆頭垂)。
それならどうする、と改めて品書きを眺めると、「糧」という文字が目に留まる。
以前「エン座」の「糧もり」で出会ったことのあるキーワードだ。
その「糧(かて)もりうどん」をお願いしましょう。
と、急にどこからかモノタリナイかもよーとの声が聞こえてきて(笑)、慌てて「野菜天ぷら盛り合わせ」を追加します。
天ぷらが先に届くと、ますますビールへとイキたくなるよなぁと苦笑しているところへ、うどんの膳がやってきました。
おかあさんが「糧のお野菜もツユにつけて召し上がって」とひと言。
うんと頷いて、早速箸を割ります。
此処でいう「糧」というのは、野菜を味付けせず湯掻いたもの。
素うどんではなんなので、畑の恵で栄養を摂ってよ、なんてことなのかな。
湯掻いて水で〆たばかりなのがその表情からよく伝わる艶めかしさ。薬味をさっと入れ、うどんを浸し、ずーーっと一気に啜る。
太さ量感、そして粉の風味ともに意外なほどに繊細で、野生的な顔つきが本懐ともいえる武蔵野うどんの中では異端かもしれない、そんなうどんだ。
だけれど、讃岐のそれとも違う魅力を孕んでいて、透明感のある粉のコク、とでも云いましょうか。
加減よく丁寧に湯掻いた、茄子、大根、菠薐草、人参、白菜といった瑞々しい野菜たちも今日の糧になるのですね。
小平の手打ちうどん・そばの店「甚五郎」。できればうどん専門店であって欲しい、というのは勝手な思い込み(笑)。
手打ちそばうどん、でなく、手打ちうどんそば、であるところにきっと意図はあるのでしょう。
関連あるや否やは別にして、武蔵野あちこちの「甚五郎」については、「Con Brio!!」に詳しいぞ。
口関連記事:武蔵野本手打うどん房「エン座」で むほほーの季節の霙糧もり(07年10月)
「甚五郎」 小平市鈴木町2-865-8 [Map] 042-385-8551