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ホルモン「やまや」で せんまい刺ねぎサラダホルモンノスタルジー
芝浦の橋の袂に気になるロケーションとそそるホルモンのお店があると知って、ずっと気になっていました。
ところは、最寄り駅と思われる田町からも歩いてくるにはちょっと難儀な旧海岸通り沿い。
高浜橋をとタクシーの運ちゃんに告げて、しばらく。
車から降りたところで、行き交う車の向こう側に見つけたのは、なるほど味な情景でありました。青いサイディングで外装を囲んだ木造二階の真ん中に文字の掠れはじめたトタン看板。波板の庇の下で、白い暖簾が払われるのを待っている。
もう営業していないようだけれど、左手の「ラーメンはるみ」と並んだ様子は、どこか忘れ去られたような昭和の匂いがフンプンとします。
予約の連絡をした時には、「団体さんがいるから、カウンターよ」と聞いていたのだけど、
暖簾の先に顔を入れると、
「初めて来るって云うから、常連さんにカウンターに移ってもらったのよー」と女将さん。
すいませんありがとうございますと、カウンターにぎっしりと横並びに座っている常連さんたちにお礼とお詫びを伝えて、左手前のテーブルへと腰掛ける。
当夜のメンバーは、はじめましてのぼうずこんにゃくさんにご存じ築地王、つきじろう両氏であります。
まずはビールで乾杯、ぷはっとしてからきょろきょろと品札を窺う四人衆。
最初に届いたのが、「せんまい刺身」。これがいきなり、旨い。
ちょちょんと酢味噌様のタレにつけて、ハグっと噛めば、独特のきゅきゅっとした歯応えと鮮度いきいきとした清冽な旨味。
うんうん。
休みとの兼ね合いで「レバ刺身」にありつけなかったのが残念だ。
「ポテトサラダ」や「もつ煮込」をやっつけつつ、
ビールの次はと視線を上げると、厨房側の吊り棚に並ぶボトルが目に留まる。
揃って一様に列をなす、「キンミヤ」の一升瓶だ。
そうとなれば、ホッピーも一緒に貰わねば。
ラベルに印すは、「俺様はつきじろう」(笑)。
続いて届いた「ねぎサラダ」が、いい。万能葱系統の青葱を2cmくらいの長さに刻んで、微塵切りの唐辛子や胡麻や海苔をタレと一緒に和えてある。
ぴり辛とシャクシャクと青み甘みが綯い交ぜになって、あとをひく美味しさだ。
豆腐もたっぷりの「キムチ鍋」をハフハフぺろんと平らげて、鍋を退け、ガスコンロをテーブルの真ん中に迎えます。
手鍋にたっぷりとした焼き物は、「ホルモン焼」「ハラミ焼」。「くれぐれも焼き過ぎないようにねっ」との女将さんの指令のもと、
ジューと焼き始めます。
下味がしっかりついていて、コリコリ食感が心地いいホルモンは、ちょっと塩辛いか。
コントラストを示すかのように、ハラミの旨味が際立ってくる。
ふ~、お代わりお代わり(笑)。
あとは、「キンミヤ」全部呑んじゃおうと、ホッピーの空き瓶が増えてゆくことに。
杯が進むと、おのずと増えるのがトイレの回数。
トイレは何処にと問うと、鍵を掛けてある場所とトイレの場所を示されます。
トイレしたいひとは、鍵をもってその脇の手狭な出入り口から外へ出て、建物横手にあるトイレの鍵を開け、照明を点け、用を足して、その逆を辿るという決まりに従うべし。
トイレは外に作るって考え方が時代を思わせて、それもなんか面白いよね(笑)。
幕板に掲げた額縁にある調理師免許にある女将さんのお名前は、崔さん。
こちらに嫁に来て、先代の女将さんを手伝い、引き継いで、もう50年!になるという。
お店としては、80年くらいの歴史があると。
う~ん、いいなぁ。
快活で肝っ玉な女将さんの脇でコンビを組んでいるのがその娘さん。
三代目も安泰かも~(笑)。
日テレのドラマ「銭ゲバ」のロケ地にもなったらしい、高浜橋北詰が目印のホルモン「やまや」。ノスタルジック食堂、ここにあります。
冷蔵し、自己責任ですぐ食べることを条件にお持ち帰りさせてもらった「牛すじ煮込」も絶品だったことを付しておきましょう(for 築地王さま)。
「やまや」 港区芝浦4-7-12 [Map] 03-3452-2045