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スペイン食堂「石井」で 和みのフラメンカエッグ特製パエリア
中原街道沿いにあったビストロ「いな」の青いテントが赤いテントに変わったのは、いつのことだったかな。
もう2年くらい経つのかもしれません。
今、昼に夜にその存在を主張している赤いテントのお店が、スペイン食堂「石井」です。
居抜きに手を入れた、そんな様子の店内の厨房で立ち動いている短髪の方がきっと石井さんそのひとなのでしょう。
夜のカウンターに陣取りました。生ビールをいただきつつ眺めるメニューから、「ヒコイワシの酢漬け」。丁寧に開いて塩梅よく漬けてある。
つまりは、カタクチイワシを使った塩蔵でないアンチョビ、みたいなことでいいのかな。
大蒜の微塵切りが良く似合う。
こりゃぁビールよりも、とカヴァのグラスに持ち換えて、
「生ホワイトアスパラガスのにんにくオリーブ炒め」。過日の四川料理「川菜館」での「沸騰魚」を思い出させるかのように、土鍋の中でオリーブオイルが沸き立っている。
たっぷり量のホワイトアスパラが沸騰に合わせて、ころころと踊っているのです。
噛めばシャクっとするアスパラに伸びる手が止まりません(笑)。
カヴァのグラスをつーっと傾けつつ、ね。
「フラメンカエッグ」ってなんだろうと訊くと、
セビーリャの郷土料理で、トマトソース仕立てのココット煮のようなものだという。サラミのスライスがいいフックになって、ハフハフとトマトの酸味と玉子のコクを楽しむ感じ。
ハフハフ。なんだか、和んじゃうね。
パンのお代わりをもらって、舐めるようにソースを浚います。
スペイン料理といえば、パエリアも代名詞のひとつ。
それを今度はランチでいただこうと、昭和大学病院前の昼下がり。
スペイン食堂「石井」のランチは、魚or肉料理と「特製パエリア」で構成する軽いコースになっているのです。
前菜の横長なお皿には、夜にいただいたヒコイワシとサワークリームを添えた「スペインオムレツ」。
呑みたくなるのをグッと堪えて、カップのスープを啜ります(笑)。
マグロホホ肉か、で迷って選んだ「牛ハチノスの煮込アストゥリア風」。柔らかなハチノスにソースにしみじみする旨味があって、ふたたびパンのお代わり。
パエリアはパエリア鍋で届くものと思い込んでいたので、「特製パエリア」が普通にお皿でやってきて、ちょっと愕く。
檸檬を軽く絞って、スプーンを動かします。パラパラとしつつ、ご飯のひと粒ひと粒がこっくりとしたスープを含み包まれているようで、塩梅のいい仕立て。
大盛りにしてもらえば良かったな(笑)。
ほろ苦さがいい、
生チョコキャラメルとバニラアイスのデザートを舐めつつ和むひと時。
近く二周年を迎えるという、街角のスペイン食堂「石井」。フレンチ出身で、銀座「Puerto de Palos」などのスペインレストランを経てきたシェフが供するは、肩肘張らない、でもブレのないスペインの家庭料理たちです。
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