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支那そば「八島」で エビ塩ワンタンメン名残りの一杯ひんぎゃ塩
茅場町にある黄色い看板のラーメン店と云えば、
そう、支那そば「八島」。
およそ身近な場所ながら、この処すっかりご無沙汰しちゃっておりました。
最近では、ラーメン店で呑んでから啜るというスタイルも珍しいものではなくなってきた。
でもここでは以前から自然とそのカタチにもなってるらしくて、そのうちそんな夜の部もありかなぁなんて思っているうちに、時間が過ぎちゃった。
ま、”呑んでラーメン”を禁じ手にしている所為もあるのだけれど、ね。
ところが、そうこうしているうちに、「八島閉店!」の報が流れてきたんだ。
う~、そーなのかー、も一度海老のワンタンと塩スープの妙を記憶に刻みに行かなくちゃと、そそくさと足を運びました。
もしかして混み合っていたりするのかな、なんて思いながら桜開花準備中のさくら通りを往く。
年季が味わいを増してきた白い暖簾を払うと、意外やそんなに混んではいない。
どこに座ろうかな、と視線を廻したところで、あれ?っと足が止まりました。
隅のテーブルで、エプロンおじさんがラーメン啜ってるではありませんか(笑)。
ヒロキエさんはエビワンタンメンで、お向かいさんは肉ワンタンメンのドンブリで。
お品書きを一応眺めながら、やっぱそうっすよねーと意を強くして、「エビ塩ワンタンメン!」と告げます。
うん、そうそう、コロコロと丸っこい海老ワンタンがたっぷり浮かんだ塩スープのドンブリ。
自然と目線は、海老ワンタンにフォーカスしてしまう。噛めばプチッと云いながら、
スパイスの風味と海老さんの甘みをギュッと詰め込んだあんが顔を出す。
スープは見かけによらずコクゆったりで、
角のない青ヶ島産「ひんぎゃの塩」がしっかりと利いている。
麺を啜って、あ、そうだ、硬めにお願いするのを忘れてたぁと思いながら、ズルズズズ。
そうだ、つけ麺はどうなんだっけと思いながら、ズルズズズ。
スープすっかり飲んじゃった頃にも蓮華の底でザラっとするのが、ひんぎゃの塩だね、きっと。
ああ、もう食べちゃった(笑)。
店内をひと廻りキョロキョロしても、閉店を知らせる告知は見つからない。
でもこの週末27日で、茅場町に移り5年ちょっとの営みを終えるという支那そば「八島」。見知ったお店がなくなるというのは、やっぱり寂しいものですね。
「八島」 中央区日本橋兜町16-1 [Map] 03-3666-9891