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我流創作らぁ麺「麺家喜多楽」でゴルゴンゾーラどみそ味噌リアン
過日の「アド街」京橋篇でも取り上げられた「ど・みそ」斉藤店主が仕込む味噌ダレは、今やラーメン業界の中でも一目置かれる存在のようで、感性の一致した他のラーメン店とのコラボに至ることがさらに増えているという。
そして今回、味噌文化の最右翼ともいえちゃいそうな東海エリアにもとうとう進出。
それは果たしてどんなことになってるのかなぁ。
ちょっくら探検しちゃおうと寄ったのが、
東別院最寄りの「喜多楽」です。数人が空席を待つ列に並んで、しばし待機。
渡されたメニューには、確かに「冬季限定」と括った味噌らぁ麺の行があるある。
通されたカウンターで、念のためと「コレって、どみそコラボのヤツ?」と訊くと、「いえ、それはまだ、です」とおねえさん。
あれれ? どうやら数日やってくるのが早かったようです……。
といって「じゃぁ、いいや」と帰るわけにもいきません。
だって、そもそももうすっかり口の中の準備が味噌ラーメンになってるンだもん(笑)。
えーっと、「特製味噌らぁめん」をいただきましょうか。
厨房左手のコンロの上には、幾つもの手鍋が並んでる。
カウンター上の幕板に貼られた但し書きにあるように、ここ「麺家 喜多楽」ではスープの劣化を防ぐためにスープを手鍋で温め直してから提供してくれるらしい。
妙に煮詰まってしまったり、風味が飛んだりということを避ける意味はあるのかもしれないね。
確かにその分、どんぶりまでの時間が掛かるのだ。
届いた器の湖面は、潔くもなかなかコクのありそうな見映え。
早速蓮華で掬い啜るとそれは、想像よりは軽やかな仕立て。
名古屋コーチン丸鶏ベースに奥美濃古地鶏ガラや豚骨を加え、というスープは品のいい完成度。
戸惑わせたのは、白味噌っぽい甘さと意外なほどの塩辛さが同時かつ別々にやってくるところ。
これはそのように意図したタレの仕掛けなのか、はたまた結果的にバラけてしまったのか。
なるほど、このまま「ど・みそ」の味噌ダレと組み合わせたものも試してみたいと腕組みひとりごち。
それが叶えばいいのだけれど…。
ところが、週が開けてから再び、名古屋に赴く機会に恵まれました。
店頭の窓硝子には前回はなかった貼り紙がされていて、
「味噌ラーメンプロジェクト」とタイトル。
「PS夢のコラボレーション企画」の「PS」は中京テレビの番組名で、つまりは番組企画のコラボでもあるって寸法だ。
「新作16杯」とあるように、16店にも及ぶ壮大な企画なのですね。
ポスターに「ど・みそ」の名がないのがちょっと解せないながら、「コレ!」とポスターを指差します。
「麺家 喜多楽」が用意したコラボ新作は、名づけて「PS 味噌リアン」。
メニュー名にまで番組名をつけさせる局の方策にやや鼻白むものの、
まいっかと調理の様子を眺めます。
目の前の冷蔵のための硝子ケースを何気なく覗くと、ミルクか生クリームと思われる二種類の乳製品の紙パックがあって、その上の段のキッチンポットのひとつにはきっと「ど・みそ」の味噌ダレ。
そして、その手前のタッパーに用意されているのは、もしやブルーチーズでは……。
うわー、ゴルゴンゾーラを使ってイタリアン的に仕立てようって企みなのか。
取り出した麺も、過日の麺とは明らかに違う平打ち系だ。
「ど・みそ」ダレと「喜多楽」のスープとの融合が愉しみだったのだけど、我流創作らぁ麺と謳う「喜多楽」店主の創作意欲とプライドがそれを許さず、イタリアンをモチーフにしたドンブリに昇華しちゃったのだね。
お待たせしました~とやってきたドンブリには、ヴェローナっぽいパンが載り、パンチェッタっぽいベーコンがパルミジャーノっぽい粉チーズや彩りのパプリカと一緒にトッピングされています。
またまた早速蓮華で掬い啜るとそれは、まずゴルゴンゾーラの風味。
そこへ、酸味を伴った赤味噌の寄りの味噌ダレの風味が追い掛ける感じ。前回思ったベクトルのバラけた景色はなく、ブルーチーズと味噌ダレとクリームの風合いと下地のスーとが不思議な纏まりを魅せていて面白い。
タリアテッレばりの平打ち麺は、乾麺乾麺したややゴワゴワ感のある仕立て。
願わべくは、それが生麺ぽい仕様であったなら、スープに最高に馴染んだであろうこと。
最後に、残しておいたパンにスープをたっぷり吸わせて、ね。
実は、完全無化調らぁ麺「今昔支那そば」と「茶漬け風で丼米」との組み合わせもとっても気になってる「麺家 喜多楽」。それにしても、中京テレビとのコラボ企画ゆえ、ご近所のメーテレ(名古屋テレビ)の関係者はやぱり食べにこないのかなぁ(笑)。
「麺家 喜多楽」 名古屋市中区橘1-28-6 [Map] 052-332-5515
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