column/02730 @4,300-
小料理「美つ」で ジュークボックスのある小料理屋の風景
旗の台の東口改札前の通りを少し南下して、
立会川緑道へと至る商店街。
酒魚菜「三友」、お好み焼き「秀」、定食「あらき」、ステーキ「カウベル」なんかが並ぶ静かな通りだ。
その中程にあって、プールの帰りなんかに眺めては気になっていたお店の一軒が小料理「美つ」。
ちょっと今夜、その縄暖簾を潜ってみましょうか。カウンターで迎えてくれるのは、小料理屋によく似合う女将さん。
瓶麦酒をいただきながら眺める黒板の「本日の献立」にあるのは、「タコ」「いか焼き」「塩から」「しらすおろし」「剣先当たりめ」「ヤッコ」「おでん」などなど。
小料理屋さんの原風景にイメージするような素朴な酒肴が並んでいます。
目の前の硝子ケースにあったシシャモを指差して、「本ししゃもです?」と訊く。
「そーですよ」「では、焼いてください」。
そして見上げる正面に貼られたやや赤茶けた品札から、純米酒超辛口司牡丹と但し書きされた「船中八策」をと追いかけます。
取り留めのない四方山な話をし乍ら炙ったシシャモを頭から齧り、お猪口を傾ける。
「その茄子、焼くのがいいでしょねぇ?」「生揚げって、厚揚げのことですよねぇ?」。
そんな調子のゆるりとした気分で、気の置けない酒肴(さけさかな)の有り難味を愉しむ時間もまた悪くない。
「あ、まだあるかしら」と云いながら屈み探して出してくれたのが佐賀・井出酒造の「虎之児 原酒」。
20度を越える滴は、どこかとろんとした厚みがあって、呑み易くもすぐさまふわ~んとさせて、アルコールが“効く”のがよく判る。
お店の奥の小上がりの手前にデンと構えるのが、風格あるジュークボックス。覗き込んだパネルには、例えば、小林旭「北帰行」、江利チエミ「酒場にて」から、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、吉田拓郎「旅の宿」、フランク・シナトラ「夜のストレンジャー」、ビートルズ「抱きしめたい」、アニマルズ「朝日のあたる家」、S&G「明日に架ける橋」などなどのドーナツ版タイトルたち。
女将さんチョイスだとすると、その嗜好や時代性が窺えるようで、面白い。
有線でも、ましてやカラオケでもなく、
ジュークボックスを背中に聴きながらの一杯が味わえる小料理「美つ」。ちょっとセンチな気分で、石川セリ「八月の濡れた砂」かなんか聴きながらひとり熱燗呑るなんて、どうかな(笑)。
口関連記事:
酒魚菜「三友」 でごはんうまうま豚生姜焼きさば味噌煮(08年04月)
広島流お好み焼き 「秀」 でカキムニエルとオタフクな肉玉そば(07年12月)
定食「あらき」 で焼き目麗しき家庭的豚レバーソテー(08年01月)
ステーキ「カウベル」で ご飯に合うポークジンジャー商店街の隅(08年08月)
「美つ」 品川区旗の台3-14-7 [Map] 03-3785-8020