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らーめん「うさぎ」で 味蕾に沁みる円い甘さに似た風味
神泉界隈のラーメン屋さんというと、
ひとまず「轍」や「砦」が思い浮かぶ。
そこへもう一軒、可愛い名前のお店がいい感じと聞いて足を伸ばしてみました。
道玄坂上あたりへと抜ける横道にぼんやりと浮かぶ小さなフラッグ。
ヘタウマテイストで、ドンブリを手にしたウサギさんのイラストが描かれているね。
そして、その先の壁には「うさき」の文字。
ウサギの両耳の”〃”を合わせて、「うさぎ」と読める。
スケルトンなまんまな中に建て込んだ感じのカウンターでまずいただいたのが、
「手作り餃子」。
やや小振りで、皮とあんのバランスも悪くない、普通に美味しい餃子です。
無化調で仕立てたあんだと聞いて、へーとしみじみ味わってみる。
餃子を追い掛けるように届いたドンブリが「とっておきらーめん」。
優しげで、滋味深そうな表情のスープをまずひと啜り。円い甘さに似た風味がすすっと味蕾に沁みてくる。
動物系の旨味がじーんと背景に控えながら、和出汁のようなまろみが前面にある。
ああ、この感じってどこかで堪能したことがある。
どこだっけ、どこだっけとグルグル考える。
あ、「ちばき屋」初体験の時と似ているような気がするのだけど、どうでしょう。
そういえば、「ちばき屋」は無化調らーめんのハシリだったンじゃなかったかな。
ま、遠い記憶なのでね、あれこれ判然としませんが(笑)。
そのスープにちゅるんとわんたん、そしてシャキシャキとした細麺が好相性。
なんの文句もありません。
会計時に、なんでお店の名前「うさぎ」なの?と訊いてみた。
スタッフ全員女性です!なんてことだと、なんかすんなり合点がいっちゃうのだけれど、
短髪の兄ちゃんふたりが並ぶカウンターで「うさぎ」なんだもん。
でも応えはあっけないほど素朴で、「店主がうさぎ年生まれなもので」。
どんぶりの、力みのない和む味わいと、ふと通じることのように思えました(笑)。
「うさぎ」 渋谷区神泉町8-13 03-3464-4111 [Map]