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長崎ちゃんぽん皿うどん「一点」で オキアミ皿うどんイケる風味
建て替えが見込まれている数寄屋橋の東芝ビル。
「かなわ」や「はしご」や「直久」、「きっど」「星花」などなどのビル内の飲食店を訪れる時や銀座駅から数寄屋通りの店々へとアプローチする時にも、その都度店先を眺めていたエスカレーター脇の「一点」。
幾度となくその前を通るも訪れることがなかったのに、はたと店の前で立ち止まったのは「季節限定」と記されたポスターが目に留まったから。女性客数人がいることに不思議な違和感を覚えながら、奥のテーブルでお願いしたのが「オキアミ皿うどん」です。
”オキアミ”ってどうも、釣りする時のコマセ、ってなイメージなので、それを堂々皿うどんの具材にしちゃっているところが妙にひっかかる。
不安と期待が交錯する中、無表情なオバチャンが届けてくれたお皿。一見、普通の皿うどんですが、少し顔を近づけると、あったありました。
不揃いな大きさの小エビ様の具材が白く溶いたあんに鏤められています。
改めて「オキアミ」ってなんだっけ?と紐解けば、海老とは違う甲殻類オキアミ目に属する別の海洋生物で、非常に豊富なアミノ酸と酵素を持つ栄養価100%の生物だという。
かつて政府も、国民の動物質たんぱく源として漁獲を奨励したものの、鮮度が落ちた時の異臭が嫌忌されて、伸展しなかったそう。釣舟で嗅ぐあの臭いのことだね。
片栗のあんに含むオキアミは、コマセにみるものよりも大きなサイズに思える。
そのあんと一緒に、鳥の巣のようにした細い細い揚げ麺を割り掴む。
すると、外道で禁断なモノを食べているような不思議な戸惑いと裏腹に、オキアミの直截な香ばしさと旨味が立ち上がる。
塩っけが妙にマッチして、スタンダード「皿うどん」に含むであろう小海老とは、ニュワンスの違う風味が意外とイケるものなのだね。
東芝ビルの中華、長崎ちゃんぽんと皿うどんの店「一点」。
「オキアミちゃんぽん」は作らないのかな(笑)。
「一点」 中央区銀座5-2-1 銀座東芝ビルパルミB2F 03-3573-7535