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Bar「Radio」で ストローハットとXYZとお猿さんモチーフのその訳
南青山の路地奥のリストランテ「カ・アンジェリ」で、
トマトづくしコースを愉しんだ後。
ここまで来たからにはやっぱりちょっと寄りたいなと、そのお隣の木造の洋館へ。
もの凄く久し振りのバー「ラジオ」です。
一階へどうぞ、の案内に従って奥へと進み、ちょうど空いていたやや奥寄りのカウンターへ。
お、目の前のオジサマは、オーナーの尾崎さんではありませんか。恐縮です(笑)。
メニューの赤い表紙に貼られた、浮き彫りの「Radio」のエンブレムを撫でながら、「2ndも同じマークでしたよね」と何気なく呟けば、「ええ、もうなくなってしまいましたが」とオーナー。
一杯目には、今しがたお隣でいただいたトマトづくしを踏襲して、トマトを使ったカクテルを。
テキーラベースのカクテルは、
女性のウエストを連想させるような、クリオネのようなフォルムのグラスに「ストローハット」。底のところで、透明な液体と二層になっているのが判る。
トマトのコクと濃度の裏で、テキーラが蠢くような妖しい呑み口だ。
ベースをウォッカにすれば「ブラッディ・マリー」だね。
蒼い灯りにほんのり照らされたバックバーには、整然とボトルやグラスが並んでいて、眺めていて何故か飽きない。
あのグラス、カッコいいねぇ、あっちのヤツはすぐ折れそうだねぇ(笑)、などと話していたら、尾崎さんが分厚い書籍を見せてくれた。
プロカメラマンが、時間をかけて撮影したグラスの数々。
そして、幾つかのグラスを棚から下ろして、並べてくれる。
グラスのコレクターとしても、造詣の深い方なのだということが芬々として頼もしい。
もう一杯と、「サイドカー」のベースをホワイトラムに代えたレシピの「X・Y・Z」。仰ぎ見るゴージャスなグラスに注がれた美景。
檸檬のほの酸味とオレンジ・リキュールの風味とBacardiの奥行きとが意外なほど円く仕立てられている。
おツマミの皿にのった褐色のパテはなんだろと舐めると、
コーヒー風味のクリームチーズ。
ありそでなさそな着想がいいね。
コースターをお土産(笑)にいただいて、眺めるミネラルのグラスにも、「Radio」のロゴ。若き日の和田誠氏デザインと聞く、そのロゴタイプをじっとみる。
「Radio」が醸す、ふと尾崎さんを主としたお茶会に臨んでいるかのような感覚、美意識とロゴの意匠から滲み出る時代性を超えた力強さと奥行きの印象が頭の中で交叉する。
解説するのは野暮かもしれないけど、お猿さんをモチーフにしているあたりのその訳を訊いてみたい。
そんなことを思いながら、振り返る路地。
青く「Radio」と文字のみで示す頭上の看板は出来れば外して、ドアの脇にでも「Radio」ロゴを小さめにあしらった方が、カッコイイのになぁと思ったりする。
余計なお世話かな(笑)。
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「Radio」 港区南青山3-10-34 03-3402-2668 http://www.bar-radio.com/