都立大の駅からちょっと裏手の方へと辿れば、
すぐに見つかる「八の坊」の文字。
暖簾越しに窺うカウンターには、左隅と右隅に先客がおひとりずつ。
店頭のお品書きにある、メニュー三本柱を横目にしながら、こじんまりした店内へと進みます。
カウンターに座ると、店奥に木造の急な階段
が見え、民家を改造したかのような表情に思わず店内を見廻します。
元々は小料理屋だったのかも、なんてことも考えたりする。
「とんこつ醤油ラーメン」と並びたつメニューが「スープ焼きそば」。
焼きそばとラーメンが合体した当店自慢の一品、とある。
やっちゃってるのかもしれないなぁと少々斜に構えながら、その一品に挑みます。
具材を刻んで、取り出したのは北京鍋。
ちゃっちゃと鍋を返し、普通に焼きそばを作る所作のまま、できあがった焼きそばをどんぶりに投入しています。
手渡しされたどんぶりには、スープがひたひたとして、焼き目もそそる麺の上には紅生姜。
つまりは、焼きそばにスープを注いだだけのこと。
でもね、これがなかなかイケル。
炒めた麺の香ばしさと、醤油の利いた豚骨スープのしっかりした旨味が渾然となって、ジャンク目線もあった反動か一種の完成度を思ってしまうほど。
柔な麺ではこうはならないとすると、やっぱりこの八重山そば的な平打ちの麺が効果を発揮しているンだね。
風味が強すぎて基本的に食べることのない紅生姜も、焼きそばに紅生姜&とんこつスープに紅生姜という組み合わせを考えるとここにはあってもいいのかもと、ちょっとずつ添えてみたりする。
やや塩辛いけど、コレ、面白いなぁ。
練り芥子はどうしたいのだろうと考えながらも、忙しなく一気喰いであります。
駅近ながら、落ち着いた風情をみせる麺家「八の坊」。
長岡の温泉旅館との関係は、ありやなしや。
連想するに、硬めに湯掻いてもらった細麺で「とんこつ醤油ラーメン」ってのも、素朴に旨そうだと、そんな風にも思います。
「八の坊」 目黒区中根1-1-10 03-5701-0455
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