御園座もほど近い広小路通りを歩けば、
古のホテルのエントランスに見られるような、
くすんだカマボコテントがみつかります。
そこに示されているのは、
「広小路に生まれた名古屋の味」。
店頭にさまざまなメニューが貼られ、
次から次へと今日のお昼を目指す客たちが吸い込まれていきます。
入ってみましょう。
ボックスに区切られたフロアは、懐かしい匂いのする設え。
と、二階へ上がるよう促されました。二階はもっと広く、大箱を思わせるキャパであります。
三角に回したアイランド型カウンターで、メニューを睨む。
”名古屋の味”ってところを東京からの客人として素直に味わうなら、「あんかけ名古屋味噌かつ」とか「小エビのフライ」あたりを攻めとくのが順当なところ。
ただ、周囲を飛び交うオーダーの多くが、「とんテキ」なのですね。ここ「マツヤ」の名物らしく、つまりは、豚のステーキらしい。
そんなことを考えているうちに別紙記載のメニューが目に留まった。
「創作限定料理」と書いてあって、なんと二年に一回の料理とも書いてある。おお。
「豚トロ網焼」。
皇帝豚の僅か貴重な部位の豚トロだという。そして、最高級です、大サービスです、150gの贅沢料理限定、とも書いてある。なんだか、プッシュプッシュであります(笑)。それだけ推すのならと、塩焼きでお願いしてみました。
まさに網焼きよろしく、網に載ってやってきた皇帝豚さん。
意外と薄切りなのは、希少部位ゆえでしょうか。
意外と網にくっついていて、めりっと剥がしていただけば、
なるほどよく焼いた豚の香ばしさに脂の甘さが滲む。
ただ、”皇帝”らしさは判然とせず、もっと肉厚にしてくれれば醍醐味なのにぃとかそれをやると網の上にふた切れだけ!とかになったりしてぇとか、ブツブツ考える。
あれだけプッシュしてくれたのに申し訳ない感じの心持ちになりつつも、鉄板のタレで焼く「とんテキ」という選択肢に想いを馳せるのでありました。
広小路のランドマーク「マツヤ」の創業は、昭和37年。
今日も明日もきっとどっしりとそこにある。オジサンも頑張らねば(笑)。
「マツヤ」 名古屋市中区錦1-20-22広小路YMDビル 052-201-2082
http://www.sanynet.ne.jp/~mty/
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