こんな仕舞た屋の風情に暖簾が掛かると、 それ行けとばかりにどこからともなくノンベェが集まってくるのです。暖簾が標す「河本」の文字は、アップリケ的手縫いの味わい。 おばあちゃんが暖簾を掛けるのを少し手助けしながら、本日一番ノリ。 かと思ったらもう既に呑っている先達がいる。 常連の特権ですね~。 さてそんな先輩方を右手に新参者の我々は、左の隅から腰掛けます。 荷物は後ろのチャリンコのカゴヘ(笑)。
猫の臭いにきょろきょろすると、いました。 猫まで居心地のよさそうな顔してやがる(笑)。
さてお飲物はやっぱりホッピーで。おばあちゃんがコカコーラのボトルに入った焼酎をグラスに移して、 独特の所作でシュコンとジョッキに注いでくれます。
壁に掛かった黒い品札には、 「らっきょさん」「バタピーナツ」「やっこさん」「トマト」「もろきゅう」など、 なんかいーよなーと思っちゃう素朴な酒肴が並んでいます。
ところどころ札の抜けているところが気になったりもしてきますが、 ひとまずお願いしたのが「南蛮もやし」に「かけじょうゆ」。 「かけじょうゆ」ってなんだろと思っていたら、 なるほどマグロぶつの醤油がけってことなのですね。 それぞれの小鉢は、おひとりさま呑兵衛にちょうどいいボリュームになっている。 うんうん。
店内には想像通りクーラーなんてなくて、 古い扇風機がそよそよと回っている。 風情だなぁ(笑)。
中央に置かれた鍋がやっぱり気になってお願いするのは、「にこみ」。 玉子つきにしてもらいます。 あっさりした仕立ての煮込みですが、 このモツの裏っかわのフルフルがなんとも堪らない。 しみじみと身体の根っこで堪能するような飾らない魅力があるのです。 ホッピー、お代わり。 さらには黒ホッピーで。
おばぁちゃんが品札を重ねてもってきて、 その中には「しめさば」なんてのもある。 あー、それ、食べたひー、と云うと、ごめんね今日はないのよね~。 うう、残念。
すると、別の札を壁にすっと掛けてくれた。 おー、「アジのす漬」だ。早速いただくと、これが想像以上に、いい(右手親指上)。 ほんのり柔らかな酸味が活性したアジの脂と身の魅力を外連味なく引き出してくれている。 また、食べたい。 そしていい具合の酔っ払いは、 そろそろ使い込まれた丸椅子から離れましょうか。
振り返り見る「河本」。おかあさん、おばあちゃん、また来ますね。
今夜のご同席は、前回もホッピーの瓶を並べてた「くにろく東京たべある記」のくにさん、日本あちこち食べ歩けて羨ましい「日本食べある記@Blog」のぶれいぶさん、でした。 いい呑みをありがとうです。
「河本」 江東区木場1-3-3 [Map] 03-3644-8738
column/02341