column/02329
食「永田町 黒澤」
特に食欲が減退しているという訳でもないけれど、こうも酷暑だとズルッと蕎麦なんかを手繰るのがいいなぁと思ってしまう。ってことでちょっとわざわざ、国会議事堂前まで足を伸ばしてみました。かの黒澤家が手掛ける飲食事業の本丸、「永田町 黒澤」の蕎麦席へ。打ち水のされた門を潜り、格子戸を入ると正面に、例のサングラスをかけた監督のモノクロ写真が目に留まります。夜にはちょっとした焼き物もするのであろう囲炉裏を囲む席へ案内されました。額に滲む汗を拭いながら反応しちゃう文字は”冷やかけ”。八月のおすすめから「合鴨ロースの冷やかけ」を大盛りでいただきます。レアにて冷たくされた合鴨に冷たい汁が沁みている。それに同じく、啜る蕎麦に寄り添う、濁らずして出汁の充分な冷たいかけ汁がいい。比べてしまえば、「流石」の冷やかけの衝撃には及ばないかもしれないけど、うん、涼しく美味しい。汁も残らず飲んじゃった(笑)。相方は、「小海老の天麩羅お磯おろしの冷やかけ」。蕎麦は「翁」で修行した職人が石臼で自家製粉した粉で丹念に手打ちしているという。つまりは達磨系か。外国人客向けに箸袋の裏には箸の使い方を英語表記している「永田町黒澤」。映画「用心棒」をモチーフにしたという外観や内装は、落ち着いたものに纏めている。なんとかパビリオンチックな陳腐さは避けたかったところなのでしょう。改めて「用心棒」を観てみようかな。
「永田町 黒澤」 千代田区永田町2-7-9 03-3580-9638 http://9638.net/
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