藩士酒房「開国論者」

kaikokuronjya.jpg桜橋交叉点のビルに急進左派の論客が夜な夜な集う結社がある。表向きは飲食店の装いだが、地下では幕末の時代性に倒錯しながら先鋭的で過激な活動をしている……、らしい。夏の夜の怖いもの見たさと好奇心から、その地階への階段を降りてみました。入口周りは和風ダイニングの面構え。左手に小上がりがずずっと続き、右手にカウンターが設えてある。今のところ訝しいところは窺えない。カウンターに座ると、若い女性が接客してくれる。マインドコントロールされているのだろうか。喉が渇いてビールをあっという間に干してしまう。とまと3種盛りと記された「とまと新撰組」、白だしでいただく「長州いかそうめん」あたりで「いごっそう 古酒米」を舐める。「マグロの開国漬け」は、たたき風に周囲を炙ったマグロをづけにしたものだ。どれもそのネーミングは怪しいが、キレのある酒肴たちではある。どういう訳か、焼酎を呷るように呑んでしまう。ううむ。自失となっては何が起こるか分からないので、気を取り直してお愛想を申し出た。「また、お待ちしておりま~す」。女藩士から背中に声がかかる。こうしてひとりふたりとその掌中に取り込んでいこうというのであろうか。むむむ。 「開国論者」 中央区八丁堀3-10-3 03-3553-6750 http://www.muzina.co.jp/
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