蕎麦「九段 一茶庵」本店

issaan.jpgちょうど専修大と首都高の間あたり、というと分かりやすいかもしれません。「九段 一茶庵」は、神保町の一角でひっそりとした印象の佇まいをみせていました。黒い調度を使って、こじんまりと落ち着いた様子の店内に蕎麦を啜る音が小気味良く漏れ聞こえます。大テーブルで相席に。店名を冠した「一茶庵ンせいろ」にしようか、ドドンと「五色盛りそば」にしようかグルグル迷いますが、結局後者をお願いすることにしました。「五色盛りそば」は、長細い舟形に、せいろ、田舎、けし切り、黒ごま切り、そして季節のそばとして「さくら切り」が盛り込まれたものです。けし切りは更科風。芥子の風味ってどんなん?と思いながらさくら切りをいただく。儚げな桜色に細かな葉の欠片が織り込まれていて、ああ、確かに仄かな春の香りがする。色の薄い順に、続いてせいろをいただく。きりっとしたなかに魚出汁の香るツユと良く合って旨い。田舎はといえば、味わいそのものに野趣はなく、どちらかというぼそぼそとした食感が持ち味か。最後に黒い、黒ごま切り。胡麻の風味がしっかり感じられてこれはこれで楽しいね。全体に、固いとさえ感じさせるほどにエッジの立った仕立ての中に、蕎麦的なたおやかさを内包しているのが「九段 一茶庵」の蕎麦かと見受ける。ひとまず「せいろ」から、というのが順当な選択かと思います。 「九段 一茶庵」 千代田区神田神保町3-6-6 03-3239-0889 http://www.kudanissaan.com/
column/01818