大変なことになっている築地市場周辺。
そんな築地界隈に年の瀬の大賑わいの空気が、
漂い始めたそんな師走の初め頃。
場外のあの店に集まりましょうとのお誘いをいただきました。
ランチライムの空席待ちに慄いて以来、
ご無沙汰となっている「河岸頭」への、
久々のお邪魔を愉しみにしていたのです。
それはつまりは、帰国中のsepp先生を囲む会。
総勢10名程のご予約は、人気店ゆえの都合からか、
ふたつのボックスに分断配置。
その一方の奥に、吞むのも喰うのも朝が得意なのに、
夜の宴席を取り仕切ってくれた築地探訪の師匠がおられる。
燗酒も絶賛嗜むもうひとりの築地巡りの雄は、残念ながらご欠席と聞きました。
「河岸頭」の口開きは、お酒のむのむ前提の蜆のスープから。「酒徒庵」や「こなから」では、浅蜊の味噌汁。
青森のすし居酒屋「樽」でいただいた、「十三湖しじみ汁」を思い出したりいたします。
山形は鶴岡の「大山(おおやま)」をいただいて、
銘々が銘々のグラスを手に乾杯の儀。
東京に住む自分よりもきっと回数多く此処を訊ねているsepp先生は、
またまたお気に入りの場所に来ちゃったもんねとさっそくのご満悦(笑)。
お通しの長皿には、いつか見た亀の手が、おいでおいで。以前より見掛ける頻度が上がってきているような気がするのは、気のせいでしょか。
ほぼ同時にやってきたのが、「鮪の皮と胡瓜の梅肉和え」の小皿。成る程、鮪の皮らしき黒緑色を交えたこざっぱりとした肴。
マグロのホルモンどころか、最近はマグロの皮までも喰らうようになっているんですね(笑)。
こんな流れで酒肴が続くのだと思った矢先に、
美しきフォルムの鮪のづけと小肌とのにぎりのお皿。そうか、ここでにぎりを挿し込んでくるとは、やるね大将。
確かに、最後になって出てくるお寿司って、
どうもこう、勿体ない食べ方になる気もするもんね。
枡の中のグラスの中身を「GOZENSHU 9 NINE」に替えてみる。岡山の「御前酒」の蔵元「辻本店」が岡山の雄町で醸す清酒は、柔らかな飲み口がいい。
一見地味めな「鱈の煮浸し」も、ちゃんと旨い。鯵とか鮎のイメージの煮浸しを鱈で仕立てて大味にならないところが素晴らしい。
と、そこへ牡蠣メニューの登場、「牡蠣しぐれ」。鬼おろしでおろして歯触りを残した大根がさらりと迫る。
牡蠣と大根のおろし汁ってなかなかの名コンビですね。
お酒がススムねと話しているところへ「烏賊の一夜干し」。水分をさっと抜いて、旨みが凝集して、そして歯応えは官能的に柔らかに。
この、地味な贅沢さが佳いのであります。
黒むつにキンキ、歯鰹、鰆、カマスに細魚、
水蛸に〆鯖、鰤などなどがぎっしりと並ぶお造り。しっとり挿した脂の甘味にうっとりしていたら、
水蛸の吸盤の甘さにまたびっくりするという(笑)。
これが噂のホンビノス貝かと一瞬思うも、それは「鬼浅蜊の酒蒸し」。ラジエターのような筋を刻んだ殻が力強い。
潮を含んだ濃いぃ出汁には旨みたっぷりだ。
鮪の兜焼きドドーンとか、鮪のカマのドーンに圧倒されることはあるけれど、
他方これまた一興なのが、聳り立つ「メバチ鮪の顎」。脂の甘みに加えて、凝縮した旨みを芳ばしくいただけます。
この、ゴロゴロっとした揚げ物は何かと訊けばそれは、「墨烏賊の下足揚げ」。普段着に思う、細っこい下足のイメージを吹き飛ばす、
大振りにして繊細な味わいの下足が噛めば甘く弾けて、オツに旨い。
「イクラ鯛ご飯」を掻き込んでいるところへ、大将が手に提げた黒むつを披露してくれる。師匠がホウホウという温かな目線を送れば、sepp先生はオオオという視線を注ぎます。
焼きましょうかね、ってことでやってきた黒むつが、ガオーと登場!脂のノリもよい黒むつは、刺身にして旨く、
焼いてよし煮付けにしても鍋にしても美味しい高級魚。
なんだか勿体のう御座います。
云わずと知れた築地場外の人気店、刺身BAR「河岸頭(かしがしら)」。魚河岸勤務の経験を素地として篤い想いで供してくれる料理・酒肴に酒のあれこれ。
兎に角混み合うのが玉に瑕なのであります。
体調いまひとつの中、宴会を取り仕切ってくれた師匠、ご苦労かけました。
Mぞうさん、らいぽさん、名古屋の兄さん、
別テーブルでお話できませんでしたが、
まいたーんさん、猫村シロさんご一緒ありがとーでした。
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「河岸頭」
中央区築地4-12-2 ライオンズマンション東銀座B1F [Map] 03-6383-4597
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